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2016.08.20

【受贈】『戦国大名武田氏の戦争と内政』

鈴木将典『戦国大名武田氏の戦争と内政』(星海社新書86、星海社発行・講談社発売、2016年)受贈。ありがとうございます。

タイトルの通り、いわゆる戦国大名として16世紀に権力を確立し、結果的には滅亡に至る甲斐武田氏の通史をわかりやすく解説した内容となっています。
しかし「内政」ともあるように、武田氏の領国内における内政についても詳しく解説されており、ここに本書の大きな意義があるものと思います。具体的には検地を中心とした軍役賦課や税制の内実を具体的に説明していたり、分国法として知られる「甲州法度之次第」などの法整備の側面にも焦点を当てて詳しく説明していたりするもので、特に後半でこのような内容が中心となっていきます。
私個人も検地や税制に関心があるものの、武田氏についてはまだ不勉強だったので、本書で大いに示唆を得ることができました。

本書で示される戦国大名の性格として、領国内における紛争解決の手腕が権力の存立基盤であったという点を強調しており、これは近年の戦国大名論(領域権力論、とでもいうべきでしょうか)を踏まえた位置づけとなっています。
その中で、武田氏による徳政について取り上げている点は興味深かったです。徳政論も最近ではあまり議論されることがなくなりましたが、16世紀の徳政が持つ政治的・経済的意義について、私自身も今後考えてみたいと思いました。

前半は『勝山記』の記事を中心に組み立てた内容になっており、私自身もこの史料を通して読んでみたことがあるので、色々と議論になった記事を思い返しながら読みました。ただ、『勝山記』の分析あるいは武田氏の検地については、戦国大名論に絡んで重要な先行研究があると思うのですが、本書の参考文献には挙がっていないのはちょっと気になりました。(叙述の都合だろうと思います。)
それはともかく、現在の戦国大名像を武田氏からみるとどうなるかが、本書を読んでクリアに理解することができました。
最後にどうでもいい話なのですが、この新書のシリーズは講談社発売になっているのですね。初めて知りました。

4061385909戦国大名武田氏の戦争と内政 (星海社新書)
鈴木 将典
講談社 2016-07-26

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2016.07.25

【受贈】『秀吉の虚像と実像』

堀新・井上泰至編『秀吉の虚像と実像』(笠間書院、2016年)を、執筆者の方々より受贈。ありがとうございます。

帯にもあるように、歴史学と文学とのコラボレーションということで、豊臣秀吉やその周辺の人物像や、豊臣政権期における歴史的事件を題材として、その実像に関する研究の到達点をわかりやすく説明するとともに、その後に形成された伝承などの「虚像」がいかなる形で現代に伝わってきたのかという点を、テーマごとに対置しながら叙述されています。

個々の内容も一々興味深いですが、斬新なのはやはりこのようなコンセプトでしょう。歴史学側にいる私にとっては、実像として語られる内容はさほど違和感なくというか、自然と読める筋立てになっていますが、虚像編の叙述は不勉強ながらほとんど読んでこなかったスタイルなので、新鮮な感覚でした。

実のところ、歴史学と文学はなかなか交流が難しい関係だという印象をずっと抱いてきたのですが(これは私自身の自省にもなるかもしれません)、当然ながらコラボレーションという主旨なので、両者がそれぞれに持ち味を発揮した叙述が展開されており、まさに比較して読む愉しさを体感することができました。

あとこれは少々下世話かもしれませんが、このご時世で、しかもこの内容でありながら、400ページの分量で3000円程度の価格は少々驚きました。広く読まれることを願っております。

4305708140秀吉の虚像と実像
堀 新・井上 泰至編
笠間書院 2016-06-28

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2016.07.11

【受贈】『日本史のまめまめしい知識』第1巻

日本史史料研究会編『日本史のまめまめしい知識』第1巻(岩田書院、2016年)を、執筆者のCさんより受贈。ありがとうございます。

33人の研究者による短編集となっていますが、時代はほぼ中世史で占められています。テーマは様々ですが、帯に「教養として役に立つか、立たないか、そういうことは考えないシリーズ」という文言があってとても潔い。最近の研究成果の紹介を兼ねつつも、それぞれが読み物として読者の興味を惹くものがいくつかあれば、という意図で編纂されたもので、そういう読者が少しでも多く現れれば成功ということにになるでしょう。

書き手の側(研究者)は、論文執筆に際して、その研究にはどういう意味があるのか、どの点で社会に裨益するのか、といったことが常に問われています。もちろん研究にはそういう意義が必要であることは確かですが、たまにはそういう価値観から離れて、自分が面白いと思ったことを書く機会があってもいいのではないか。こうして生まれた企画ということでしょうか。

もちろんそれぞれの短文はそれぞれの執筆者による研究蓄積を経て執筆されたものなので、読み応えのある内容となっていますし、実は研究史上重要な指摘をしているものもあるでしょう。少しでも多くの人の目に留まり、そして日本史(中世史)に興味を抱く人が出ることを期待しています。

4866028017日本史のまめまめしい知識〈第1巻〉 (ぶい&ぶい新書)
日本史史料研究会編
岩田書院 2016-06

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2016.06.19

【受贈】『十四世紀の歴史学』

中島圭一編『十四世紀の歴史学―新たな時代への起点』(高志書院、2016年)を、編者の中島さん、執筆者のSさん・Nさんの連名で受贈。ありがとうございます。

文字通り14世紀の画期性について様々な分野から論じた一冊で、単に14世紀のみならず、日本中世史の諸分野の研究動向も把握する上で貴重な一冊だと思います。政治・社会・経済・宗教等々、考古学の成果も参照しながら論じられていて、私自身も大いに勉強になりました。

経済に関しては、特に生産活動に主眼が置かれた論調となっており、実はこの点には不得手な私にとって、とても参考になりました。むしろ、なるほどこういう視点で論じるのが有効な手段なのかと、方法論のレベルで大いに学ぶことができました。
むろん日本列島全域を対象とした論集ですが、やや東日本にフィールドが寄っているかもしれません。本書は時代的特質を照射する点が重視されていますが、今度は列島内での地域的差異の有無について学んでみたいと感じました。

4862151590十四世紀の歴史学: 新たな時代への起点
中島 圭一編
高志書院 2016-06-05

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2016.05.30

歴研大会報告

半年間、意識がほぼこれに支配されていましたが、やっと終えました。
お世話になった関係するみなさんに御礼申し上げます。

報告は、ペース配分を完全に失敗してしまいました。
お聞き苦しかったと思います。なにとぞご容赦ください。

貴重な経験を今後に活かしたいと思います。
…さて、次の原稿を。

2016.05.08

【受贈】『兼見卿記』第五

『兼見卿記』第5(史料纂集、八木書店、2016年)受贈。ありがとうございます。

対象となる時期は文禄2年(1593)~同4年。従来、同史料は原本の多くが戦災で焼失し、大半が東京大学史料編纂所が所蔵する謄写本でほぼ現存分が網羅されていると思われていましたが、近年天理大学附属天理図書館で文禄2年以後のものが見つかり、それを基に翻刻したのが同書です。

当初は天理大学の『ビブリア』で翻刻されていましたが、それをベースとして校訂を加えて刊行されたとのことです。
私もこの史料からは多くを学びましたが、改めて本書によって多くの知見を得ることができればと思います。

今後はあと2冊刊行される予定とのことです。それも楽しみに待ちたいと思います。

4840651833兼見卿記5 (史料纂集 古記録編)
橋本 政宣 岸本 眞実 金子 拓 遠藤 珠紀
八木書店古書出版部 2016-04-25

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2016.04.19

新たな震災

Kumamoto2012_3Kumamoto2012_74年前に行った時の熊本城の写真がありました。

月並みではありますが、被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興が果たされることをお祈りいたします。

こういう時に私が職業柄できることはなにか、あの地震から5年経ってもまだ五里霧中です。
さしあたり史料保全が気になる所ですが、私はちっとも貢献できていない。
私にとっては、反省する日々です。

2016.04.11

【受贈】『中世的九州の形成』

小川弘和『中世的九州の形成』(高志書院、2016年)受贈。ありがとうございます。

この書名を見ると、当然ながらあの古典的名著が浮かんで来るわけですが(笑)、この書名に決まった経緯は「あとがき」に書かれています。ともあれ本書の最も重要な指摘は、まさに終章の末尾にある「南・北の周縁こそ、中世への胎動の場だったのだ」(247頁)であろうと思います。

何をもって中世という時代を定義するのか。これは簡単なようで難しいというのが実情ではないでしょうか。いや、むしろかつてはしっかりした定義があり、それは封建制社会を基底とした、領主制と荘園制が展開した時代、ということでした。しかし今や、この定義を中世という時代に措定出来るのか、それ自体が疑問視されることもあります。あるいは、こういった議論そのものが全く顧慮されなくなってきた(単なる機械的な時代区分としての意味しか与えない風潮になった)、とも言えそうです。

そこで本書が措定する「中世的」とは何かを確認すると、(正しく真意を把握出来ているか不安ですが)ひとまずは荘園制の成立した世界と認識しているように読み取れます。ただし、それは単なる旧来の荘園制理解に留まるものではなく、「列島の範囲もこえた交通関係の伸展・深化に対する権力的編成として荘園制を捉えようとする」(10頁)とあり、土地制度の一形態である狭い意味での荘園制ではなく、国家権力の構造、あるいは都鄙間関係の編成といった側面、および国家としての領域の形成過程にも影響を与えた制度と捉えているものと理解しました。

そして本書で重要なのは、「国家としての領域」という問題です。九州は日本列島において東アジア世界に最も近いことは言うまでもないですが、その周縁的位置ゆえにこそ、「国家」の形成においては先鋭的な軋轢を生み出す場となる、ということになりましょう。ある意味現代社会でも当たり前な話なのですが、一国史的な理解をしがちな前近代社会に対するイメージにおいては、この点はむしろあまり顧みられることもなかったような気がします(少なくとも私は)。そういう問題関心をもって叙述された後に、周縁が「中世の胎動の場」という結語に繋がっていくわけです。

中世成立期については門外漢で誤解もあるかもしれませんが、本書の問題関心に触れて、今の私がつらつら考えていることについても色々と示唆を得ることができました。

4862151558中世的九州の形成
小川 弘和
高志書院 2016-03-10

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2016.04.04

【受贈】『常陸真壁氏』

清水亮編著『常陸真壁氏』(シリーズ中世関東武士の研究19、戎光祥出版、2016年)受贈。ありがとうございます。

中世関東の在地領主としてよく知られる真壁氏ですが、その関連論文を一冊にまとめたものです。研究史整理や相論、それから関連史料と年表も付されていて、初学者はもちろん、中世の武家領主を研究する上で大いに資する一冊なのではないかと思います。

かつて真壁へ調査に連れて行っていただいたことを思い出します。現地では地籍図を調査したり、現地を歩いて用水や水田、屋敷推定値を見て回りました。私はお気楽な小旅行気分で行ったのがお恥ずかしい限りですが、真剣かつ綿密に調査する姿を見て、研究に対する姿勢を改めて学びました。
その時にも真壁氏をテーマに本を出すことを目指しておられるような話をした記憶がありますが、本書はそれを形にしたものの一つということになるでしょうか。

著者の関心もあって本書ではどちらかというと鎌倉期の動向が中心に置かれていますが、真壁氏は戦国期の関東においても無視出来ない存在であることは間違いないところですので、それらの研究もより活性化することを期待したいと思います(お前はやらないのか、と言われるでしょうが(笑))。

4864031959常陸真壁氏 (中世関東武士の研究 第19巻)
清水 亮編著
戎光祥出版 2016-03-08

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2016.03.31

年度末につき

早くも年度末となりました。
今年度は形にできたものはなかったのですが、これから出る予定の原稿をいくつか書いたので、まあぼちぼちとといったところでしょうか。
なんといっても5月に大イベントを抱えているので、年度替わりといっても大した実感はありませんが。

私の環境自体は、新年度も変わりません。
新年度も引き続き宜しくお願いします。

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