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2016.11.07

【受贈】『本能寺の変と明智光秀』

洋泉社編集部編『ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀』(歴史新書y65、洋泉社、2016年)を、執筆者のKさんより受贈。ありがとうございます。

17の論考からなっており、タイトルの通り本能寺の変と明智光秀の活動、その周辺における織田信長と周辺諸勢力との関係などについて、これまでの研究をもとにわかりやすく解説する内容となっています。タイトルからすると本能寺の変の「真相」というような内容をイメージしがちですが、それそのものよりも、信長の勢力拡大過程における諸勢力との関係について解説した論考が多く、かつ詳細で読み応えがありました。
読者にとっては、興味のあるテーマとそうでないものもあるかもしれません。その場合は興味のあるものだけを読み進めてもいいように思います。

相応の調整をしたかもしれませんが、内容については重複するところもいくつかありました。これだけの論者がまとまって一冊の本を書くとなると、それはどうしても避けがたいところではありますが。

本能寺の変がテーマとなると、しばしば突飛な議論で興味を惹こうとする著作も散見されますが、本書は実に冷静な態度になっていて、それがかえって面白味に欠けるという印象を与えるかもしれません。しかし、冷静な態度で厳然たる歴史的事実に向き合うことこそが、歴史に学ぶことであることを、本書は思い起こさせてくれます。

4800310652ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀 (歴史新書y)
洋泉社編集部
洋泉社 2016-10-04

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2016.10.07

【受贈】『通貨の日本史』

高木久史『通貨の日本史―無文銀銭、富本銭から電子マネーまで』(中公新書2389、中央公論新社、2016年)受贈。ありがとうございます。

私が書いたわけではないのですが(笑)、ついに、というか、やっと出たというのが率直な感想です。この20年ほどで前近代日本の貨幣流通史研究は急速に進展したものの、それを一般向けの形で概説的にまとめた書籍は今までありませんでした。
それが新書の形で通史としてまとまったことは、私にとってもたいへん喜ばしいことです。

副題にあるように、日本初と思われる金属貨幣の無文銀銭から説き起こし、20世紀末の飛鳥池遺跡の発掘で沸いた富本銭などの古代貨幣の議論や、特に研究が進んだ中世貨幣の実態についてもわかりやすく解説されています。そして近世以降は、経済政策や市場経済との関わりから貨幣のあり方をわかりやすく説明されていて、経済史の概説書としても有用ではないかと思います。

一方、率直な感想なのですが、通史を新書で一冊にまとめるのはかなり難しかっただろうなあと感じたりもしました。特に中世については、もっと書きたいことがあったのではないかと勝手に想像しています。

なお、余計なことですが、中近世移行期に登場する「永楽銭」について、永楽通宝そのものとする今までの理解について私は疑問に感じています。もっとも、それについてはいくつかの論考で触れたことはありますが、当然ながらまだ仮説のレベルに留まるものです。それゆえ、「永楽銭」については本書の理解を通説として理解しておくべきでしょう。ただ、私自身はこの問題について検討を進めていきたいと思っています。

私にも機会があるかはわかりませんが、本書に学びつつ、違った視点から概説書が書けるよう精進していきたいと思います。

4121023897通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書)
高木 久史
中央公論新社 2016-08-18

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2016.09.20

【受贈】『長宗我部元親・盛親』

平井上総『長宗我部元親・盛親』(ミネルヴァ日本評伝選、ミネルヴァ書房、2016年)受贈。ありがとうございます。

伝記シリーズではありますが、本書は戦国大名長宗我部氏の盛衰を通して描いています。現時点における長宗我部氏研究の概要がこの一冊でつかめるという点で、有用な一冊になろうかと思います。

私が長宗我部氏の歴史に関する文献に初めて触れたのはもう20年以上前になりますが、その頃のおぼろげな記憶を掘り出して比較しても、まさに隔世の感があります。従来人口に膾炙していた長宗我部氏やそれに関わる人物についてのエピソードが、ほとんど覆っているような印象すらあります(笑)。
とはいえ、それが一般にどれだけ伝播したかとなるとまた別の話で、おそらくはひとたび築き上げられた旧来のイメージ(たとえば長宗我部元親の「姫若子」など)は強固でもあり、様々な形で再生産されて次世代にも受け継がれているのも確かでしょう。それを全否定してまわることが必ずしも有益とは限りませんが、なるべく最新の学説に触れる人が増えることを期待したいですし、このシリーズが果たす役割はそこにあるのでしょう。広く読まれることを期待したいです。

4623077624長宗我部元親・盛親:四国一篇に切随へ、恣に威勢を振ふ (ミネルヴァ日本評伝選)
平井 上総
ミネルヴァ書房 2016-08-10

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2016.08.30

北海道のサマーセミナー

Ss2016_12Ss2016_36今年も中世史サマーセミナーに参加してきました。これで5年連続?回目。
そして今年はついに念願の北海道で開催とあって、万難を排して参加しました。その理由といえば、サマーセミナーなんだから涼しいところでやるべきだ!というつまらないこだわりが実現したからという小さい理由なのですが(笑)。

とはいえ、最近では若い頃のように日本とその周辺との交流に対する興味が再び高まっており、しかもなかなか学ぶ機会の少ない北方の交流に関わる内容になるとあって、非常に期待しつつ参加しました。そして、予想以上に大いに学んだよい機会となりました。実行委員をはじめ、関わった多くの方々に感謝申し上げます。

個人的にはやはり銭が気になったところでしたが、少なくとも16世紀までは、アイヌはやはり銭を貨幣として認識していなかったようで、でありながら北方経由で銭が入ってくることが興味深いところです(装飾品としての需要があったためとするのが有力のようですが)。私自身オリジナルな分析はできませんが、多くの研究に学んで今後も考えていきたいと思います。

酒も食もさすが北海道というか、短い期間でしたが堪能することができました。最近北海道に行く機会が多くなったのですが、またすぐにでも行きたい(笑)。

ちなみに、左写真は厚真町の12世紀頃の遺跡発掘現場。来年にはダムの底に沈むそうです。右写真はよいち水産資料館(余市歴史民俗資料館)で展示してあった、余市で発掘された銭。

2016.08.20

【受贈】『戦国大名武田氏の戦争と内政』

鈴木将典『戦国大名武田氏の戦争と内政』(星海社新書86、星海社発行・講談社発売、2016年)受贈。ありがとうございます。

タイトルの通り、いわゆる戦国大名として16世紀に権力を確立し、結果的には滅亡に至る甲斐武田氏の通史をわかりやすく解説した内容となっています。
しかし「内政」ともあるように、武田氏の領国内における内政についても詳しく解説されており、ここに本書の大きな意義があるものと思います。具体的には検地を中心とした軍役賦課や税制の内実を具体的に説明していたり、分国法として知られる「甲州法度之次第」などの法整備の側面にも焦点を当てて詳しく説明していたりするもので、特に後半でこのような内容が中心となっていきます。
私個人も検地や税制に関心があるものの、武田氏についてはまだ不勉強だったので、本書で大いに示唆を得ることができました。

本書で示される戦国大名の性格として、領国内における紛争解決の手腕が権力の存立基盤であったという点を強調しており、これは近年の戦国大名論(領域権力論、とでもいうべきでしょうか)を踏まえた位置づけとなっています。
その中で、武田氏による徳政について取り上げている点は興味深かったです。徳政論も最近ではあまり議論されることがなくなりましたが、16世紀の徳政が持つ政治的・経済的意義について、私自身も今後考えてみたいと思いました。

前半は『勝山記』の記事を中心に組み立てた内容になっており、私自身もこの史料を通して読んでみたことがあるので、色々と議論になった記事を思い返しながら読みました。ただ、『勝山記』の分析あるいは武田氏の検地については、戦国大名論に絡んで重要な先行研究があると思うのですが、本書の参考文献には挙がっていないのはちょっと気になりました。(叙述の都合だろうと思います。)
それはともかく、現在の戦国大名像を武田氏からみるとどうなるかが、本書を読んでクリアに理解することができました。
最後にどうでもいい話なのですが、この新書のシリーズは講談社発売になっているのですね。初めて知りました。

4061385909戦国大名武田氏の戦争と内政 (星海社新書)
鈴木 将典
講談社 2016-07-26

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2016.07.25

【受贈】『秀吉の虚像と実像』

堀新・井上泰至編『秀吉の虚像と実像』(笠間書院、2016年)を、執筆者の方々より受贈。ありがとうございます。

帯にもあるように、歴史学と文学とのコラボレーションということで、豊臣秀吉やその周辺の人物像や、豊臣政権期における歴史的事件を題材として、その実像に関する研究の到達点をわかりやすく説明するとともに、その後に形成された伝承などの「虚像」がいかなる形で現代に伝わってきたのかという点を、テーマごとに対置しながら叙述されています。

個々の内容も一々興味深いですが、斬新なのはやはりこのようなコンセプトでしょう。歴史学側にいる私にとっては、実像として語られる内容はさほど違和感なくというか、自然と読める筋立てになっていますが、虚像編の叙述は不勉強ながらほとんど読んでこなかったスタイルなので、新鮮な感覚でした。

実のところ、歴史学と文学はなかなか交流が難しい関係だという印象をずっと抱いてきたのですが(これは私自身の自省にもなるかもしれません)、当然ながらコラボレーションという主旨なので、両者がそれぞれに持ち味を発揮した叙述が展開されており、まさに比較して読む愉しさを体感することができました。

あとこれは少々下世話かもしれませんが、このご時世で、しかもこの内容でありながら、400ページの分量で3000円程度の価格は少々驚きました。広く読まれることを願っております。

4305708140秀吉の虚像と実像
堀 新・井上 泰至編
笠間書院 2016-06-28

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2016.07.11

【受贈】『日本史のまめまめしい知識』第1巻

日本史史料研究会編『日本史のまめまめしい知識』第1巻(岩田書院、2016年)を、執筆者のCさんより受贈。ありがとうございます。

33人の研究者による短編集となっていますが、時代はほぼ中世史で占められています。テーマは様々ですが、帯に「教養として役に立つか、立たないか、そういうことは考えないシリーズ」という文言があってとても潔い。最近の研究成果の紹介を兼ねつつも、それぞれが読み物として読者の興味を惹くものがいくつかあれば、という意図で編纂されたもので、そういう読者が少しでも多く現れれば成功ということにになるでしょう。

書き手の側(研究者)は、論文執筆に際して、その研究にはどういう意味があるのか、どの点で社会に裨益するのか、といったことが常に問われています。もちろん研究にはそういう意義が必要であることは確かですが、たまにはそういう価値観から離れて、自分が面白いと思ったことを書く機会があってもいいのではないか。こうして生まれた企画ということでしょうか。

もちろんそれぞれの短文はそれぞれの執筆者による研究蓄積を経て執筆されたものなので、読み応えのある内容となっていますし、実は研究史上重要な指摘をしているものもあるでしょう。少しでも多くの人の目に留まり、そして日本史(中世史)に興味を抱く人が出ることを期待しています。

4866028017日本史のまめまめしい知識〈第1巻〉 (ぶい&ぶい新書)
日本史史料研究会編
岩田書院 2016-06

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2016.06.19

【受贈】『十四世紀の歴史学』

中島圭一編『十四世紀の歴史学―新たな時代への起点』(高志書院、2016年)を、編者の中島さん、執筆者のSさん・Nさんの連名で受贈。ありがとうございます。

文字通り14世紀の画期性について様々な分野から論じた一冊で、単に14世紀のみならず、日本中世史の諸分野の研究動向も把握する上で貴重な一冊だと思います。政治・社会・経済・宗教等々、考古学の成果も参照しながら論じられていて、私自身も大いに勉強になりました。

経済に関しては、特に生産活動に主眼が置かれた論調となっており、実はこの点には不得手な私にとって、とても参考になりました。むしろ、なるほどこういう視点で論じるのが有効な手段なのかと、方法論のレベルで大いに学ぶことができました。
むろん日本列島全域を対象とした論集ですが、やや東日本にフィールドが寄っているかもしれません。本書は時代的特質を照射する点が重視されていますが、今度は列島内での地域的差異の有無について学んでみたいと感じました。

4862151590十四世紀の歴史学: 新たな時代への起点
中島 圭一編
高志書院 2016-06-05

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2016.05.30

歴研大会報告

半年間、意識がほぼこれに支配されていましたが、やっと終えました。
お世話になった関係するみなさんに御礼申し上げます。

報告は、ペース配分を完全に失敗してしまいました。
お聞き苦しかったと思います。なにとぞご容赦ください。

貴重な経験を今後に活かしたいと思います。
…さて、次の原稿を。

2016.05.08

【受贈】『兼見卿記』第五

『兼見卿記』第5(史料纂集、八木書店、2016年)受贈。ありがとうございます。

対象となる時期は文禄2年(1593)~同4年。従来、同史料は原本の多くが戦災で焼失し、大半が東京大学史料編纂所が所蔵する謄写本でほぼ現存分が網羅されていると思われていましたが、近年天理大学附属天理図書館で文禄2年以後のものが見つかり、それを基に翻刻したのが同書です。

当初は天理大学の『ビブリア』で翻刻されていましたが、それをベースとして校訂を加えて刊行されたとのことです。
私もこの史料からは多くを学びましたが、改めて本書によって多くの知見を得ることができればと思います。

今後はあと2冊刊行される予定とのことです。それも楽しみに待ちたいと思います。

4840651833兼見卿記5 (史料纂集 古記録編)
橋本 政宣 岸本 眞実 金子 拓 遠藤 珠紀
八木書店古書出版部 2016-04-25

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