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2018.02.13

【受贈】『上杉謙信』

石渡洋平『上杉謙信』(シリーズ実像に迫る14、戎光祥出版、2017年)受贈。ありがとうございます。

上杉謙信の生涯を平易に解説した伝記になっていますが、このシリーズは関連する写真や図版がふんだんに用いられており、ビジュアル面で非常に卓越した内容になっています。
内容も、誰にでもわかるようわかりやすく叙述されていて、歴史に興味を持って間もない人や、中高生くらいの若い人たちに手にとって貰えるように工夫したものといえるでしょうか。

とはいえ簡略化しているわけではなく、近年の成果も積極的に採り入れられていて、謙信の一生を通覧する上で便利な一冊となっているように思います。

私は上杉(長尾)氏の史料は不勉強であまりみていないのですが、「馬鹿者」と書状で罵ることが度々あったことなど、非常に短気だった様子が窺えて面白かったです。そのせいか、ややせっかちだったのでしょうか、しばしば家臣の離反を招いていますが、彼の性格も結構影響したのかなあと思わせられました。

本書を通じて、戦国時代あるいは上杉氏に対する関心がより高まるとともに、実際に勉強を深めようと思う人が増えることを期待します。

4864032718上杉謙信 (シリーズ・実像に迫る14)
石渡 洋平
戎光祥出版 2017-12-08

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2018.01.28

【受贈】『兵農分離はあったのか』

平井上総『兵農分離はあったのか』(平凡社、2017年)受贈。ありがとうございます。

内容はタイトルそのものずばりですが、戦後歴史学の最大のテーマの一つである「兵農分離」の実像について、先行研究や史料を駆使しながら再検証を行っています。

結論は読んでのお楽しみというか、ある程度想像はできるとは思いますが、とはいえ単に「兵農分離はなかった」ということにはなっていません。読後の感想としては、私は分析と結論にほぼ同感といったところ。

兵農分離は、戦後歴史学において(近世史の側から)強調された中世と近世の断絶の象徴として強調されたキーワードだったわけですが、それは当時におけるグランドセオリー(唯物史観)との関わりにおいていわば観念的にクローズアップされたもので、必ずしも実像を慎重に判断したものではありませんでした。もちろんその批判は主に中世史の側からすぐさま呈示され、長らく論争になってきた経緯があることはよく知られています、というか、日本史学を勉強すると必ず知る話でしょう。

本書はそれらの批判について丁寧に整理した上で、観念的な兵農分離論を批判する論旨となっており、史料の引用も多いですが現代語訳もあって読みやすくなっています。この後しばらく、本書が議論の到達点として参照されるべきものと思います。

なお、日本経済史については、時々愚痴を言っているように(笑)、いまなお事実上の歴史のスタートが「太閤検地」になっています。これまた兵農分離と同様の問題を抱えているわけですが、私にはまだ力無く、なかなか変化が起きませんけれども、本書に勇気づけられて地道に頑張っていきたいと思いました。

4582477348兵農分離はあったのか (中世から近世へ)
平井 上総
平凡社 2017-09-27

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2018.01.13

【受贈】『鎌倉を読み解く』

秋山哲雄『鎌倉を読み解く―中世都市の内と外』(勉誠出版、2017年)受贈。ありがとうございます。
内容は鎌倉時代における鎌倉の都市としての性格を論じたもので、論文集のため史料を引用しながら論じる専門的なものとなっていますが、詳しく説明がされていて、専門家でなくとも読みこなせるのではないかと思います。

鎌倉幕府のお膝元としての鎌倉を論じるものであるため、当時の鎌倉の都市空間の在り方は政治状況との関わりが当然ながら濃厚であるため、単なる都市史にとどまらず、鎌倉時代の政治・社会・宗教などと深く関わる内容になっており、大いに示唆を得ることができました。

ただ、やはり都市鎌倉を「読み解く」という主題にあるように、鎌倉の都市としての構造が考古学・人類学などの様々な分野の成果を採り入れながら緻密に分析されていて、鎌倉の歴史を知る上で重要な一冊になるだろうと思いました。

鎌倉は歴史都市として多くの観光客が訪れていますが、一般的な観光地(鶴岡八幡宮など)に飽き足らないコアな町歩きをしてみたい場合には、本書を片手に歩いてみると、違った側面を知ることができるように思います。最近では永福寺の復元が進んでいるようですが、本書で永福寺建立の経緯や伽藍の構成について、通説を詳しく検証しており、現地でそれを想像しながら見てみたいものです。(私は復元してからは行っていないもので…。)

鎌倉にはしばらく行っていませんが、本書を一読して、今一度歩いてみたいと思いました。
個人的な関わりでいえば、2009年に報告をお願いした歴研大会のことを懐かしく思い出しました。

4585221948鎌倉を読み解く―中世都市の内と外
秋山 哲雄
勉誠出版 2017-10-31

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2018.01.01

2018年謹賀新年

なんだかあっという間に新年となりました。
本年も宜しくお願いいたします。
毎年書いているような気がしますが、このブログもすっかり先細りの体たらくになってしまいました。そろそろ潮時かなと思わないでもないのですが、もうしばらく続けたいと思います。
史跡ネタは、実は溜まる一方なのですが、全然更新できていません…というか、正直に言えば、ここで紹介する気力が今はほとんどありません。いつかは再開したいと思いますが、もし期待している方がおられましたら、現状について申し訳ないと思います。

さて、昨年は細々ながらも研究面では次のような成果がありました。

・二冊目の単著(論文集)刊行。
・リスボンでの研究会報告(報告は英語でなんとか頑張りましたが、討論は日本語…)
・論考をいくつか発表(しかし出たのは上半期のみ)

研究面では、今年はかなり深刻な事態になりそうで、今から不安いっぱいです。
研究生活でもピークが過ぎたと言われないように、がんばりたいところです(ただ、粗製濫造しても意味はないのですが)。

ともかくも、健康第一でまいりましょう。
みなさんにとってもよい一年となりますようお祈りいたします。

ちなみに、先月は菅浦(左写真、3回目)と熊本(n回目)へ行ってきました。
熊本へは震災後初めて行ったのですが、熊本城の現状を目の当たりにしてきました(右写真)。私にできることはほとんどありませんが、復興が着実に進むことを願っています。

SugauraKumamoto


2017.12.24

【受贈】『戦国おもてなし時代』

金子拓『戦国おもてなし時代―信長・秀吉の接待術』(淡交社、2017年)受贈。ありがとうございます。

連載をベースに一冊にされたそうで、いわば短編集といった趣ですが、いずれも読みやすくかつ興味深い内容で、勉強になりました。

タイトルにあるように、織田信長・豊臣秀吉周辺における接待の様子を復元するとともに、接待をめぐる人間模様を活写した内容となっています。信長の時代になると接待の在り方が大きく変わる様子が具体的に指摘されており、一層興味深いところでした。近年では信長を特別視することに対して批判的な研究が多く発表されていますが、この指摘はそれに一石を投じるもののように思えました。

参照されている史料は主に当時の茶人たちが遺した記録類や、イエズス会宣教師たちの日本観察の記録などが中心となっていますが、私はいずれも不案内な史料で、非常に勉強になりました。私もできればこれらの記録をきちんと読んでみたいと思ったものの、そこまでの時間がもう遺されているか…といった感も(まだ早い?)。

紹介されているエピソードはいずれも興味深いものですが、特に気になった点もいくつかったので、私なりに検討してみたいと思います。文章は平易でありながら、大いなる刺戟を得られる一冊です。

4473042022戦国おもてなし時代 信長・秀吉の接待術
金子 拓
淡交社 2017-10-04

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2017.12.18

【受贈】『近世の開幕と貨幣統合』

高木久史『近世の開幕と貨幣統合―三貨制度への道程』(思文閣出版、2017年)受贈。ありがとうございます。

専門書としては、前著を発刊されて以後の研究を中心にまとめられていて、主に西日本における16~17世紀にかけての貨幣流通の実態の分析が詳細になされています。当該研究は(私を含めて)集中的に取り組まれてきたものの、まだまだ事実関係で明らかでない点が多いわけですが、本書は新しい事実を次々と明らかにしており、研究段階をさらに進めた成果になっていま
す。
このほか、近世において発達する札≒紙幣の登場についても検討が深められており、副題にある「三貨制度の道程」のみならず、紙幣が発達する経緯についても押さえられている点が特筆されるでしょうか。

新しい事実発掘については、特に17世紀前半はまだまだ遅れている感がするわけですが、その中で、佐賀藩の貨幣鋳造の事実を取り上げられている点は興味津々でした。個人的には、「やはり九州ではほかにもあったか」といった感がします。東日本でも銭の独自鋳造の形跡はあるものの(永楽銭の枝銭出土の事実など)、やはり西日本、特に九州での鋳造が顕著だったとみられることが、佐賀の事例でもより明確化したような気がします。

自分の専門に最も近い内容であり、このほか興味深い論点はたくさんありますが、おそらくそれについて言及する機会が後にありそうなので、ここではこれくらいにしておきます。一般向けではないですが、日本の中近世移行期貨幣史研究の最新成果を余すところなく織り込まれた内容になっているので、多くの人にチャレンジしてもらえるといいなと思います。

4784219021近世の開幕と貨幣統合
高木 久史
思文閣出版 2017-08-10

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2017.11.19

【受贈】『岩波講座 日本経済の歴史』第1巻

『岩波講座 日本経済の歴史』第1巻(岩波書店、2017年)を、執筆者のHさんとSさんの連名で受贈。ありがとうございます。このほか執筆者の方々から抜刷もいただきました。

日本経済史の概説書といえば、一部を除いてたいていは近世(太閤検地)からスタートするのですが(それ自体思うところがあるわけですが)、このシリーズは遡って中世からとなっており、これ自体は画期的なものだと思います。

さて、叙述はいずれも具体的な内容になっていて、中世経済に関するこれまでの実証研究がしっかりとまとめられており、研究や教育の面で今後とも大いに役に立つ一冊となりそうです。把握していなかった新たな事実に加え、これまで通説化していた見解に修正を迫る考察などもあり、単なる研究史整理に止まらない内容になっているように感じました。

さて、人文的な日本史研究からみて異色なのが、序章の人口史の考察でしょう。断片的なデータを基にした考察は、それまでの研究とは異なる内容の指摘もあり、その指摘にどのように向き合うかを考える必要がありそうです。
とはいえ、提出されたデータがどこまで信用に足るものなのかについて、私自身は不勉強ゆえ確信が持てないのも正直な感想です。関連研究を実際に当たってみて、自分なりに信憑性について考えてみたいと思います。仕事山積で八方塞がりな現状にあって、いつ取り組めるかはわかりませんが…。

4000114018中世 11世紀から16世紀後半 (岩波講座 日本経済の歴史 第1巻)
中林 真幸ほか編
岩波書店 2017-07-12

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2017.10.13

【受贈】『信長研究の最前線2』

日本史史料研究会監修・渡邊大門編『信長研究の最前線2―まだまだ未解明な「革新者」の実像』(歴史新書y73、洋泉社、2017年)を、執筆者のKさんより受贈。ありがとうございます。

タイトルを見れば瞭然ですが、織田信長をめぐる近年の研究動向を一般向けに解説するもので、好評だったのでしょうか、第二弾として出されました。
前半は上洛以前の信長をめぐる情勢についての内容が多くなっています。史料的制約が大きく、上洛後に比べるとわからないことが多い時期ですが、その中で当時の信長をめぐる地域事情や、信長の行動の背景などについて詳しく解説されており、勉強になりました。

後半は、上洛後に構築した権力の在り方についてや、イエズス会宣教師、商人との関係などについて触れられたものが多くなっています。この辺りは私の関心に近いものも多く、興味深く拝読しました。中でも、『今井宗久書札留』に再び注目が集まっているのでしょうか、堺商人と信長との関係について、単なる経済的側面のみならず、当時の政治動向との関わりを重視する内容に関心を持ちました。

すべての内容を紹介できませんが、読み応えのある一冊となっています。初心者向けとは言えないかもしれませんが、信長に興味のある人に広く読まれることを期待します。

4800313066信長研究の最前線2 (歴史新書y)
日本史史料研究会監修・渡邊 大門編
洋泉社 2017-08-03

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2017.09.25

【受贈】『平安期の女性と政治文化』

服藤早苗編『平安期の女性と政治文化―宮廷・生活・ジェンダー』(明石書店、2017年)を、執筆者のNさんより受贈。ありがとうございます。

主に10世紀頃(一部は鎌倉時代)を中心に、宮廷の女性の政治的役割・文化との関わり・生活習慣に関わる事項などを論じた論集です。私は対象とする時代やテーマに全く疎く、これまでの研究史についてもほとんど知識がないため、掲載されている論考はいずれも新鮮さを感じながら読むことができました。
とはいえ、やはり素人にはなかなか難しいことも多く…。不勉強を痛感します。

本書ではじめに触れられる研究史を踏まえると、平安期になると徐々に男性重視の社会体制が構築され、女性の社会的地位が低下し固定化したと理解されているようですが、それでもなお、平安期には依然として女性の政治・社会・文化における役割が軽視できないものであることが、各論考において共通したモチーフになっているように読み取りました。

本書はかなり専門性の高い書籍ですが、価格の安さに驚きました。研究者のみならず、広く一般の多くの読者に手を取って貰うための決断でしょう。そうなることを期待します。

4750344818平安朝の女性と政治文化――宮廷・生活・ジェンダー
服藤 早苗編
明石書店 2017-03-30

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2017.09.16

リスボンでの学会報告

Lisbon_1Lisbon_28月末から9月初めにかけて、EAJS(ヨーロッパ日本研究協会)の国際学会のため、リスボンへ行ってきました。応募したパネルが幸運にも採択されました。

報告は日本語でもokということで気軽な気持ちでいたのですが、諸々の事情により結果的に英語で報告することになり(討論は結局日本語にしてもらいましたが)、私の報告はしどろもどろに(笑)。とはいえ、聴衆のみなさんからは意を汲んだ質問をいただいて、少しほっとしました。私の語学力はまだまだ初心者のレベルで、忸怩たる思いです。

学会では様々なイベントも用意されており、この辺りは日本の学会とは違った雰囲気を体感できました(その分、参加費が高いのではありますが)。合間を縫ってリスボンやその周辺の史跡も巡見し、満足した“出張”になりました。

国際学会(英語)での報告はこれで2回目ですが、まだまだ修行が足りません。それとともに、そろそろ英語で原稿を書く必要があるだろうなあ(名刺代わりとして)と思うものの、それを可能とする実力を身につけるための努力はまだまだこれからです…。

それにしても、リスボンは素晴らしい所でした。ヨーロッパやアメリカなどからバカンスに訪れる人が多いのもわかります。晴れると暑いものの、湿度が低くて過ごしやすかったです。坂がきつくて歩き回ると結構疲れますが。

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