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2005.11.13

「新しい」古い話

最近は家にいてもあまりのんびりテレビを見ることはないのだが、夕食がてらテレビをつけると「世界一受けたい授業」(日テレ系)という番組で日本史の話をやっていたので見る。
誰が出ているのかな~と思ったが、K氏?ああ一般向けにいろいろ本を書いている人ね。ふーん、高校の先生だったんですね。
ま、それはともかく、全体的な感想としては、確かにウソは言ってないな、とは思いました。ただなんというか…、「よく知られた常識は古い」という事で“驚きの新事実”を話し、聞いた芸能人がびっくりする、ってよくあるコンセプトなわけですが、出してきたネタ自体も、やっぱ古いんですね~。高校の先生だからなのかどうかはわからないけど、最近の教科書を見せて「ほら、こんなに変わっている」という筋立てだったわけですが、そもそも教科書に書いてある事自体が、実は古いネタであることを示しているわけです。教科書の記述は通説として確定した事だけを慎重に選んで書き込むわけですから(一部かび臭くて間違いだらけの説教本もありますが(笑))、多くの研究者による検討を経てはじめて、通説として確定した経緯があるわけです。なので、教科書に書かれている話は、業界としてはおよそ10年くらい前の水準であると考えた方が良いです。(だいたい鎌倉幕府の成立年に関する話で「へ~」とか言ってた若いの。私が大学受験の時でさえ既に常識だったぞ(笑)。要するに学生時代に勉強さえもしてないのがバレバレ。)

例えば肖像画のモデルが通説とは違う…という話、最近結構もてはやされているようですが、業界で議論されていたのは10年以上前です。ちなみに「足利尊氏像」とされてきた肖像画、「執事」としか紹介されませんでしたが、高師直であるという説が有力です。

ただ蒙古襲来絵詞で蒙古兵と「てつはう」が後世に書き加えられたという話は、比較的新しい議論です(それでも10年近く前に出た話ですが)。しかしその解説が良くない。まぁ本筋じゃなかったから流したのかもしれませんが、鎌倉武士が一騎打ちに拘って苦戦したとか、「神風」によって勝ったという話は、ウソとまでは言いませんが、その「常識」も現在は疑わしいというのが主流です。そんな「武士像」は、大河ドラマでさえも今や採用していないと思いますが。あと、竹崎季長が「子孫に事績を伝えるために描かせた」というのは、ウソです(笑)。そんな事が教科書に書いているとすれば、ちょっと問題だなぁ。参考にこちらをどうぞ。

まぁ日本史に少しでも興味を持って貰うための啓蒙活動としてK氏の仕事は賞賛に価すると思いますが、やはりこの辺、もうちょっと研究者がしゃしゃり出るくらいの風潮になった方がいいような気がしますねぇ。もっとも研究者ってのは老若問わず優秀な人ほどマスコミに露出するのを嫌がりますから(笑)、意識改革をするのは難しいかもしれませんけど。あとはやっぱり話術でしょうねぇ。日本史の研究者はプレゼンテーション技術をさらに磨いていかないといけないように思います。もっともこれは自戒を込めて。

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コメント

研究も一流で、プレゼンテーションというかパフォーマンスも一流って人が、これからの時代には求められますよね。

かといって、学界がそういう存在をむしろ煙たがりはしないか、という懸念もなきにしもあらずで(例えば中沢事件とか参照)、かかる問題意識がどれだけ共有できているか、という点から考える必要があるかもしれません。

網野さんみたいな人は、もう出てこないのかな~

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