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2008.07.18

応仁・文明の乱の“常識”を疑うべきか

先日たまたまテレビをつけたら、くだんのNHK「その時歴史が動いた」で応仁の乱のネタをやっていたので、途中から見てました。ゲストはまたSさん。松平アナに「義満以来ですね」って言われてましたが(笑)。義満の回の感想はこちら

まあ内容はおおむね通説通りでしたが、気になったのは、「当時の史料」と紹介した「応仁記」にかなりの内容を依存していること。
「応仁記」の内容がまったく信用できないわけではないですが、やはり後世に作られたものなので、「同時代史料」として扱うのは配慮に欠けています。
この「応仁記」については、16世紀前半に細川高国に近い人物が書いたとされていて、相当「細川寄り」に書かれている可能性が高いそうです。結果として、細川勝元と対立した日野富子と山名宗全が“乱の首謀者”として辛辣な扱いを受けており、そのイメージが現代にも定着しています。

実際のところは果たしてそうだったのか…?

史料を総ざらえしたわけではありませんが、私の印象では、山名宗全の乱への参加はかなり突発的で、日野富子と根深く繋がっていたようには感じられません。
ではなぜ宗全はあんな大乱を引き起こすような挙兵をしたのか。当然ながら畠山氏や斯波氏などの家督相続があり、肩入れした畠山義就・斯波義廉への情誼も重要です(この辺からSさんは中世的な共同体的意識との関係を示唆しておられましたが)。ただ、最も重大だったのは、赤松氏の処遇問題にあったように個人的には思えます。

失脚していた赤松政則が播磨で挙兵したことが乱の直接の引き金になった形跡の窺えることや(『大乗院寺社雑事記』応仁元年[1467]5月21日条。しかも細川勝元が「合力」していたらしい)、勝元と宗全とが和睦交渉に臨んだ際にも、赤松処遇で意見が合わずに決裂したようです(『親長卿記』文明4年[1472]正月15日条)。
このことから見ても、細川勝元も誉められたものではない(笑)。というか、直接的には、そもそも勝元が宗全を挑発した結果として大乱が引き起こされたようにも見えます。

周知の通り、嘉吉の乱以後、幕府政治は赤松氏絡みの問題が常に懸案事項になっていたわけですが、それが極まった結果と見ることもできるのではないかな、と。もちろん応仁の乱というのは様々な要因が絡み合った結果の大乱であったことは確かで、理由を一つに絞ることはできませんが、「応仁記」に拠ったイメージが“実像”であるかどうかは、今後議論がされてもよいように思いました。

と、宣伝めいてますが(笑)、石田晴男『戦争の日本史9―応仁・文明の乱』(吉川弘文館、2008年)購入。「応仁記」の話は、この本を参照しました。

4642063196戦争の日本史 9―応仁・文明の乱
石田 晴男
吉川弘文館 2008-06

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コメント

たぶん、この問題に関して一番最初に本格的に取り組まれたのは、『応仁記』の成立過程も含めた全面的な検討を行った家永遵嗣さんの研究ではないかと思います(「軍記『応仁記』と応仁の乱」、学習院大学文学部史学科編『歴史遊学』山川出版社、2001年)。

家永説を踏まえた末柄豊「質問愚問 解説コーナー 応仁の乱について」(『歴史と地理』607号、2007年)がコンパクトかつ的確に、応仁の乱の実像を解説していると思います。

念のため申し添えておくと、「応仁記」を巡る記述は家永さんにプライオリティがあることが強調されています。
注記しておくべきか迷った結果、はしょったんですが、やっぱり書いておいた方がいいですね。

>御座候さん
『歴史と地理』はともかく、『歴史遊学』ってのはちっとも知らなかったです(笑)。家永さんには、早くご著書を出していただきたいものですねえ。

>最も重大だったのは、赤松氏の処遇問題にあったように個人的には思えます。

早島大祐さんが、赤松家取り潰しに伴う牢人の大量発生と彼らの京都への流入が、京都の治安悪化の要因および「足軽」の供給源という形で、応仁の乱の社会史的前提になったという議論を展開しておられますが、赤松氏問題と応仁の乱の関連性については様々な角度からの検討が必要なのかもしれません。

>家永さんには、早くご著書を出していただきたいものですねえ。

とりあえず『室町幕府将軍権力の研究』を、きちんとした出版社から再版していただきたいですね。

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