記事検索

  • Googleによる全文検索

    ウェブ全体から検索
    サイト内検索
無料ブログはココログ

Tools

« 茅ヶ崎城跡 | トップページ | 小机城跡 »

2009.08.03

戦国期歴史像へのスタンスを考える

池享『日本中世の歴史6・戦国大名と一揆』(吉川弘文館、2009年)受贈。ありがとうございます。
最近忙殺されていてまだほとんど読んでいないのですが…。

最近、戦国期を対象とした概説書がいくつか出されている中で、どのように差別化を図ったかといったところがポイントでしょうか。
本書では、タイトルにある「一揆」に注目しています。中世後期に広がる一揆は、その基礎として「家」の形成があること、さらには一揆による結合では「家」の存立が危うくなった時、一人の指導者を頂点として社会統合の強化および秩序維持を図ろうという動向があった、という視点が軸となっています(p.3)。

このような捉え方そのものは、斬新なものというわけではなく、むしろかなり“伝統的”な時代像という風にも考えられます。ただし“伝統的”である「戦後歴史学」的理解一辺倒というわけではなく、領主=搾取の主体、民衆=闘争の主体という単純な図式とは一線を画した上で、両者の関係を措定してゆく、といった姿勢を感じられました。

一方、最後には「中近世移行期村落論」の立場は取らないことが明記されており、確かにこの視点からの研究はほとんど参照されていません。この辺は、議論になるかもしれませんね(ならないかもしれませんが)。

さて、個人的な関心に基づくならば、貨幣に関する記述がほかの概説書に比べて多いように見受けまして、勝手に喜んでいます(笑)。
ま、それはともかく、このシリーズは高校生をターゲットとしているらしいと伺ったのですが、高校生には少し難解かも? ただ、歴史に興味のある高校生なら十分読みこなせるかな、という気もしますね。

あとは蛇足的なことかもしれませんが、シリーズ第1巻で東アジア世界を中心に据えた歴史像とは距離を置いたように読み取れた一方で(こちら参照)、本書では東アジア国際関係の動向を考える重要性が最後に指摘されています(p.231)。もっとも第1巻でも対外関係が重要ではないとは書かれていませんが、この辺のスタンスの違いは、対象とする時代によるものなのかどうか、少々考えさせられました。

4642064060戦国大名と一揆 (日本中世の歴史)
池 享
吉川弘文館 2009-07

by G-Tools

« 茅ヶ崎城跡 | トップページ | 小机城跡 »

コメント

久留島さんの講談社の通史のタイトルが『一揆と戦国大名』でしたね(゚ー゚;

「戦国大名」と「一揆」をキーワードに戦国時代を論じる、という姿勢は、今やスタンダードとなった、と言えるかもしれません。


その割に、最近は一揆論が流行っていないんですけどね……crying

 こんばんは。私は天皇や公家から見た戦国史というのを読んでみたいのですが、無茶苦茶な要求でしょうか?きっと書く人がいないかもしれませんね。戦国大名も一揆も類書がたくさんあって、そんなに変わらないような気がするのですが。すみません。生意気言いました。

>御座候さん
タイトルの話は、周囲でも少々話題にはなってました(笑)。企画側としては、シンプルイズベストなんでしょうけどね。

一揆は研究史が分厚いので、敬遠されがちな気がしますね。もっとも大名研究も分厚いのですが、派手さの違いでしょうか。

>渡邊さん
天皇・公家の視点というのは、一風変わっていて面白そうですね。ただ、貧乏ネタばかりで(笑)、読んでいて気が滅入るかも…。

こんばんは。最近仕事が忙しく、研究が遅々として進まず困ってます。(仕事が忙しいのだから、それはそれで良いのかもしれませんが……。)

一揆研究については門外漢なのでよく分かりませんが(爆)、言われてみれば最近はあまり聞きませんよね。かつて室町時代に関する論文をすべて集めようとして、「安保闘争が苛烈さを増すに従って、一揆に関する論文が増加する」傾向を発見しました。

これって当たり前なのかもしれませんけど、社会が個人主義化(俺様化)してっているために、集団主義の一つである一揆の研究が下火になっている…なんてことはないでしょうか?

とするならば、コミュニケーションに苦しんでいる人向けに、「中世のコミュニケーション論」を提起すると良いのかもしれませんね。

私の申次研究も、実はそういう所からスタートしています(苦笑)

>たけうちさん
安保闘争時代は民衆闘争史の研究が盛んになりましたので、一揆および惣の研究は中心的な論点になりましたね。

現在は「個人主義」的な所もあるでしょうけれども、その根底にはやはり共同体の稀薄化があるように思われます。それゆえ、一揆のような研究は下火になったのかな、と思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/20022/45828634

この記事へのトラックバック一覧です: 戦国期歴史像へのスタンスを考える:

« 茅ヶ崎城跡 | トップページ | 小机城跡 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

Amazon

最近のトラックバック