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2011.12.30

【受贈】『記憶の歴史学』

金子拓『記憶の歴史学―史料に見る戦国』(選書メチエ519、講談社、2011年)受贈。ありがとうございます。

まだ途中までしか読んでいないのですが、「記憶」をキーワードとして展開される史料論、という位置づけになるでしょうか。一般に二次史料と呼ばれる軍記や家譜などの史料や日記に書かれた記事をひもときながら、それらが記録として書き残される背景、あるいはそれらの記事が記録として選択される背景などについて、精緻な分析を基に明らかにしていきます。

展開される叙述はとても刺戟的です。人口に膾炙する伝承などのエピソードがどのように生まれ、受け継がれてきたのか。それが仮に事実ではないことが明らかであったり、事実とはとても考えられないようなものである場合、えてしてそれが事実ではないと断じるのみで済まされることが多い。しかしそれらが“事実ではないにしても”、どのような経緯で生み出され、受け継がれてきたかということの検証は、いわば「歴史認識の歴史」という部分で好個の素材であることは、これまでの多くの研究成果があることからも認知されているところでしょう。
それは例えば『太平記』や「忠臣蔵」にまつわる研究などがよく知られていますが、本書は戦国期に時期を絞りつつ、『信長記』(『信長公記』)を中心としながらも、一般的には知名度は高くない様々な史料を駆使して興味深いエピソードを多く紹介しています。

中でも中心として取り上げられているのが、『兼見卿記』です。これは私も勉強会を通して読む機会があり(そして著者には多くのご教示をいただきました)、すでに論文で用いたこともあります。この日記は当時の政治・文化・社会を読み解く上でとてもためになる史料であり、本書においてその魅力が余すところ無く紹介されているように感じました。この史料の活字化が途中で止まっているのはなんとももったいないというか、問題というべきであり、対処が急がれるのですが…。

まだ読破していないので、じっくり拝読します。そして単に史料に書かれた情報のみならず、その背景にある深みを読む大切さと面白さを体感したいと思います。ともかくも、これから研究を志す修士レベルの人にはお勧めしたい一冊です。

4062585227記憶の歴史学 史料に見る戦国 (講談社選書メチエ)
金子 拓
講談社 2011-12-10

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