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2012.09.06

【受贈】『偽りの外交使節』

橋本雄『偽りの外交使節―室町時代の日朝関係』(歴史文化ライブラリー351、吉川弘文館、2012年)受贈。ありがとうございます。
昨年出版された『中華幻想』(勉誠出版)は主に室町期の日中関係についてがテーマでしたが、こちらは日朝関係がテーマ。著者が長らく取り組んでこられた、「偽使」問題から対外関係の様々な姿について説き起こしています。

具体的には、外交文書や外交儀礼、とりわけ日本側が渇望した大蔵経の実際の価値、はたまた文化交流など、とにかく多角的な叙述になっていて、中世後期における日朝関係の研究の到達点をサーベイするための絶好の一冊と言えると思います。

ただ個人的に面白いと思ったのは、「ニセモノ」を追究した結果、実のところはむしろ「ホンモノ」とは何かという問題がクローズアップするという指摘でした。私も貨幣史をやっていて、悪銭の問題に特に興味があるので常々思っていることでもあるので、とても共感が持てる。「グレー」とか「マージナル」とか「両性具有」とか、表現はいろいろあれど、このような状態を放置することはあまり好まれない傾向があり、最後には白か黒かという決着を付けたがることも多いように思う(日常生活よりもむしろ研究の世界の方がより強固かもしれない)。もちろんそれが研究の上で重要な問題意識ではあるのだけれども、あまりにはっきりさせようとしすぎると、かえって本質が見えなくなってしまうということも考えようによってはあるのではないだろうか。
こうした“曖昧さ”というか、ぶっちゃけていえば“どっちでもいいよ”的なスタイルが、いわゆる「国家」間交渉という最もシビアな場面においても適応しうる可能性があるということは、中世東アジアという世界を考える上で一つのヒントになるのではないかという気がしました。

なんだかとりとめのない感想ですが、良かれ悪しかれ現在的な問題であるテーマについて、歴史的な視点から思索するための手引きとして広く読まれることを期待します。

464205751X偽りの外交使節: 室町時代の日朝関係 (歴史文化ライブラリー)
橋本 雄
吉川弘文館 2012-08-21

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