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2014.02.11

【受贈】『関ヶ原合戦と石田三成』

矢部健太郎『関ヶ原合戦と石田三成』(敗者の日本史12、吉川弘文館、2014年)受贈。ありがとうございます。

豊臣政権期から関ヶ原の合戦を経て江戸幕府が成立するまでの流れを、政治史の側面から通史として編まれた一冊。本書の特色は「家格」に基づく権力内部の秩序形成が豊臣政権を規定する大きな要因であったとするものであり、そのキーワードとして、著者がこれまで注目してきた「清華成」があります。従来の「五大老」「五奉行」という区分では秩序を表現する概念として適当ではないことが明確化されているように感じました。

そして中でも重要なのが、豊臣秀吉の死が近づくにつれて問題化する後継者問題であり、すなわち官位の秩序では徳川家康に劣る豊臣秀頼をいかに政権の頂点として安定的に継承させるか、でした。末期の秀吉はこれに執心した結果、秀吉個人という権力に依存する秩序から「豊臣家」というイエに由来する秩序の構造を生み出した、としています。しかしその構想は秀吉死後にもろくも崩れ去ったわけですが…。

また、関ヶ原の合戦は家康と石田三成という二項対立に帰するものではなく、前者を「維新軍」、後者を「正規軍」と位置づけ、それぞれに相応の「正当性」を位置づけて述べられています。これはとりもなおさず、三成側という「敗者」の視点を当時の政治事情に明確に反映させるべきである、というモチーフによります。

さて、もう一つ注目すべき論点は、近年話題になりつつある豊臣秀次の切腹を巡る経緯ですね。こちらも著者の新視点をもとに叙述されています。その適否についてはこれから議論になると思いますが、一つ疑問というか知りたいと思ったのは、秀次に切腹を迫ったと思われる人物(誰かは実際に読んでください)に対して、おそらくなんらの処罰がされなかったのはどうしてなのか、というところですが。

あたかも推理小説を読むかのような、「謎解き」を思わせるような叙述になっていて、一気に読み通すことができました。史料をそのまま引用した箇所もありますが、読み飛ばしても特に問題はないので、初心者でも安心して読み進められると思います。広く読まれることにより、当該期の最新成果に多くの方が触れて貰えたらなあと思います。

4642064583関ヶ原合戦と石田三成 (敗者の日本史 12)
矢部 健太郎
吉川弘文館 2013-12-12

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