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2018.04.04

【受贈】『伝奏と呼ばれた人々』

日本史史料研究会監修・神田裕理編著『伝奏と呼ばれた人々―公武交渉人の七百年史』(ミネルヴァ書房、2017年)を、執筆者のMさんより受贈。ありがとうございます。

中世から近世にかけての、文字通り伝奏の通史ですが、伝奏で一般書が出るのは驚きというか、感慨深いものがあります(もちろん私は専門ではないのですが)。

伝奏とは朝廷(天皇)の命令を官制機構外の各機関(本来は古代において国家的行事=祈祷を担っていた大寺社)に伝達するメッセンジャーで、伝達対象のトップの身分も相応に高いことから、朝廷のトップ層である公卿の中から選任されてその役を果たしていました。
鎌倉期になると、朝廷と幕府との意思疎通が国家経営にとっても最重要となったため、その役に当たる武家申次の役割が注目されてきました。この武家申次も事実上の伝奏と位置づけられています。
本書はこの鎌倉期の武家申次の実態から書き起こし、室町期における足利義満による変革期(ここで表向きにも朝廷と幕府をつなぐメッセンジャーが「伝奏」と呼ばれるようになる)を経て、信長・秀吉と伝奏との関係や、近世における伝奏の役割が解説されています。

読み下しているとはいえ史料を引用するもその現代語訳は付されていないなど、初学者向けではありませんが、この分野に関心のある日本史専攻の大学生や、専門的な素養への関心が高い一般層が主な読者層として想定できそうです。

天正13年(1585)の伊勢遷宮をめぐる相論への豊臣秀吉の介入については、かつて私が所属したゼミで議論したことを思い出します。(素人ながら)筆者と私の見解は異なりますが、関心を持つ読者が増えることを期待したいところです。

本書のテーマの伝奏は、研究史的には平成への「代替わり」が近年における活性化の出発点だったように理解しています。そのため1990年代前半に活発に議論されていた感がありますが、その後停滞とは言わないまでも、社会情勢との関係もあって落ち着いた議論が続けられてきたように思います。来年に控える次の「代替わり」によって、新たな議論が喚起されるのでしょうか。注視したいと思います。

462308096X伝奏と呼ばれた人々:公武交渉人の七百年史
日本史史料研究会監修・神田 裕理編著
ミネルヴァ書房 2017-12-30

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