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2018.05.01

【受贈】『五山僧がつなぐ列島史』

斎藤夏来『五山僧がつなぐ列島史―足利政権期の宗教と政治』(名古屋大学出版会、2018年)受贈。ありがとうございます。

本書の目的は、冒頭の一文を借りれば、「鎌倉期から南北朝、室町、戦国期にかけて、なぜ、どのようにして、全国の五山・十刹・諸山を組み込む五山制度という巨大な宗教制度が構築され得たのか」(1ページ)という課題に応えることで、禅宗と中世の権力との関わりについて、具体的な分析を通じて明らかにしようとするものと捉えました。

とはいえ私は全くの門外漢で、序章でまさに門前払いされそうですが(笑)、理解した範囲でいうと、史料に現れる多数の禅僧がどのような出自でかつどのようなルートで出世を遂げていったかが詳細に明らかにされており、そこから権力との関わりを追究することで、両者の関係を炙り出しています。
近年では室町期の権力論の議論が盛んなわけですが、彼らを取り巻く禅僧たちもまた、かかる権力動向と深く関わっていることが理解できました。

禅宗というと、中央(特に室町幕府)と政治的にも経済的にも密着している感覚がしますが、実際にはそれだけではなく、地域社会や地域権力とも強く関わっている…いや、むしろ地方との関わりを重視する必要があると説いています。その象徴として用いられるキーワードが、「夷中(いなか)」という言葉です。禅僧は在京したがって地方に行きたがらないと思われがちですが、実は逆で、「夷中」を往来する姿がむしろ一般的な彼らのあり方だったようです。これはとりわけ戦国期に顕著で、地域権力が実際に一族から禅僧を輩出したり、資金源でも重要なパトロンとなっていたりしたことによるとみられます。
ちなみに、最後に織豊期にキリシタンが禅宗をどう見たかという視点での検討は、ちょっと意外でしたがなかなか興味深かったです。

門外漢たる私はおそらくほとんど読み解けていないですが、宗教史としてはもちろん、政治権力論との関係について重要な指摘が随所でなされています。私の関心で述べるならば、(これは初出論文で勉強してはいましたが)五山領等の活動が室町幕府にとって重要な財源になっていたという先行研究には問題があり、むしろその点を過大視すべきではない、という点です。個人的に中世後期権力の財政構造についていくつか見直す必要がありそうな感がしているので、この点を参考に今後考えていきたいと思います。

4815809038五山僧がつなぐ列島史―足利政権期の宗教と政治―
斎藤 夏来
名古屋大学出版会 2018-02-02

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