【受贈】『戦国の城の一生』
竹井英文『戦国の城の一生―つくる・壊す・蘇る』(歴史文化ライブラリー475、吉川弘文館、2018年)受贈。ありがとうございます。
戦国時代の「城の一生」、つまり築城から整備、維持管理、そして廃城、はたまた復活(再利用)に至るまでの様子を、文献史料から具体的に復元しています。さすがというか、全国各地の城の事例を網羅的に検出し、興味深い事例を多く取り上げてわかりやすく城の実態について解説がほどこされています。
個人的に興味深かったのは、城の運用規定ともいえる「城掟」を網羅的に蒐集して分析しているところでした。私は「城掟」について詳しいことは知らなかったのですが、様々な規定を目にして、城の運用にとどまらず戦国期の社会事情が垣間見える内容も多いことがわかりました。今後の参考になりそうです。
城跡の実像については、発掘調査や縄張研究によっても大きく進展してきたわけですが、文献史料にも多くの論点を見いだせることがわかりました。歴史学においては、現在では異なる研究分野との協業が重要なテーマになっていますが(城郭研究の場合、地理学的な分析も視野に入るでしょう)、改めて文献史料に立ち返る重要性も学んだ気がします。
吉川弘文館
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