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2019.05.01

【受贈】『薩摩の密偵桐野利秋』

桐野作人『薩摩の密偵桐野利秋―「人斬り半次郎」の真実』(NHK出版新書564、NHK出版、2018年)受贈。ありがとうございます。

私は大学入学後に戦国期への関心が高まるとともに幕末維新期への興味が急速に薄れたため、恥ずかしながら知識がほとんどありません。私の幕末維新期の人物イメージといえば、大学入学前によく読んでいた司馬遼太郎の小説や、1990年のNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」で止まっています。本書の主人公である桐野利秋(中村半次郎)についても、猪突猛進的な血の気が多い藩士の一人というイメージでいました。

本書は、そのようなイメージを覆す内容となっています。私の持つイメージは池波正太郎の小説『人斬り半次郎』が与えた影響のようですが、実際の桐野利秋は、幕末期には薩摩藩の密偵として各種の情報収取(そして時には暗殺)を行う役回りを担っており、しかもかなりの手柄を挙げたようでした。そのような役回りのためか、藩内外様々な人物と接触しており、かつそれが史料から復元できることに非常に興味深く感じました。さすが、19世紀後半ともなると、ここまで史料があるのかと感嘆します(もちろん、史料の博捜という大変な作業を経て読者はその恩恵を受けるわけですが)。幕末の政治史について近年の研究をしっかり追えているわけではなかったので、この辺りの詳細な叙述は大いに勉強になりました。

終盤の西南戦争の描写もドラマチックで、この辺りは事実を淡々と述べがちな研究書とは一線を画する醍醐味です。参考文献リストも充実しており、この時代の入門書としてもおすすめしたいです。

薩摩の密偵 桐野利秋―「人斬り半次郎」の真実 (NHK出版新書 564)
桐野 作人
NHK出版
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