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2017.02.06

【受贈】『戦国史の俗説を覆す』

渡邊大門編『戦国史の俗説を覆す』(柏書房、2016年)を、執筆者のAさんより受贈。ありがとうございます。

この版元からは刺戟的なタイトルの本がいくつかありますが、本書もその一つといった印象ですね。ただ、内容は攻撃的なわけではなく、丁寧です。
戦国期から江戸初期に至るまでの、一般的に比較的有名な人物や事件について、長らく通説化して「常識」とされていたことが、実は近年の研究によってその土台が揺らいでいることを、わかりやすく解説しています。帯にもあるように、川中島の戦い、本能寺の変や、あるいは関ヶ原合戦など、内容もバラエティに富んでいます。
個人的には、これまで様々な研究に触れてきた中で、本書で触れられたようなテーマに関わる議論が展開されてきたことを経験的に知っているので、それらの論文などに触れた当時のことを思い出しながら読んだ論考もありました。

最近は研究史を読み直すようなコンセプトの書籍が一般向けにも多く出されており、どれを読書の対象として選択するかが難しくなってきたように感じますが、「俗説」に飽き足らない人にとって、本書は内容も十分に刺戟的なものになっているように感じました。

4760147519戦国史の俗説を覆す
渡邊 大門編
柏書房 2016-10

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2017.01.16

【受贈】『わかる・身につく歴史学の学び方』

大学の歴史教育を考える会編『わかる身につく歴史学の学び方』(大月書店、2016年)を、執筆者のKさんとMさんの連名で受贈。ありがとうございます。

歴史学とはどういう学問か、どうやって歴史学を学ぶのか、という点は、研究者個々は経験で身に付いているものの、私を含めて多くの人は体系的に学んだ経験は意外に多くはないと思います。それゆえ、いざ教える側に立ってみると、ほとんど「口伝」で教えるほかに手段がなくて、しばしばもどかしい思いをすることもあるでしょう。

本書は、その「口伝」をかなりの部分で可視化したテキストという印象で、教える側としても、教わる側としても、実に有用なテキストになるのではないかと感じました。

特に印象的なのは、前半でガンジーには様々な評価がある例を挙げていますが、それを研究書や論文からではなく、複数の高校教科書の記述から導き出している点です。大学の授業で高校の教科書を用いることにはそれなりに批判的な意見もあるようなのですが、学生にしてみれば、はじめて大学で歴史学を触れようとした時に、いきなり専門書では面食らうこともあろうかと思います。そこで導入を教科書の記述の比較に求めていることは、そのような配慮があってのことだと(勝手に)解釈しました。比較検討するという、学問の基礎を学べる題材となっている点で、興味深い叙述でした。

もっとも、単なる導入書というのみならず、後半を中心に専門的な文献探索方法なども紹介されており、歴史学を専攻する学生にとっても手引きとして有用なのではないかと思います。
専攻しない学生にとっても、本書を読めば、大学で歴史学を学ぶとどのように自分の役に立つのかという点を理解してもらえそうだと感じました。

私は現在は歴史学の入門的な授業を担当していないのですが、今後そのような機会があれば、是非ともテキストに選びたい書籍の一冊になると思います。

4272412361わかる・身につく歴史学の学び方 (大学生の学びをつくる)
大学の歴史教育を考える会編
大月書店 2016-11

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2016.12.12

【受贈】『応仁の乱』

呉座勇一『応仁の乱―戦国時代を生んだ大乱』(中公新書2401、中央公論新社、2016年)受贈。ありがとうございます。ドタバタしていて、読み終えるのに時間がかかってしまいました。すみません。すでに本書は話題になっており、ここで詳しく紹介するのも屋上屋を架すようなものですが、少々の感想も含めたご紹介をば。

本書の白眉は、『経覚私要抄』と『大乗院寺社雑事記』を中心とした記録類から説き起こすというスタイルで、大和の動向から応仁の乱の顛末を描写しているところですね。この時期の京都の人間が遺した記録類も少なくないものの、実のところ政治的な叙述は上記の奈良で書かれた記録には劣るというのが率直な印象です。その点で、これらの両史料に目を付けたのは卓見というべきでしょう。

特に尋尊が記した『大乗院』は有名な史料ですが、奈良で書かれたこともあって、応仁の乱をめぐる顛末については、所詮は噂話にすぎないとしてあまり重視されてこなかった嫌いがあります。十分な検証を経た上で、本書はこのような評価を排して積極的に記事を参照しているところが特徴といえます(本書で多く紹介される大和の動向や各地の興福寺領荘園をめぐる情勢は尋尊自らが当事者ではあるので、これらの事例は自ずと信憑性が高いわけですが)。

応仁の乱そのものの戦況は、通説ではかなり複雑な描き方をされてきたわけですが、これは後世の軍記物に依存したストーリーであり、実際は多くの研究によって否定されています(今では、高校日本史でもかつてのような図式で説明されていないのではないでしょうか)。しかし、なかなかそれが一般には伝わっていないのがもどかしいところでした。本書はできる限り最新の研究を踏まえて叙述されており、応仁の乱をめぐる事実認識が世間的にもアップデートされることを期待したいところです。

ただ、内容が充実していることと諸刃の剣とはいえるでしょうが、一般向けとしては少々難解かなあという気もします。いや、版を重ねているので、それは杞憂なのでしょうね。

412102401X応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
呉座 勇一
中央公論新社 2016-10-19

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2016.11.07

【受贈】『本能寺の変と明智光秀』

洋泉社編集部編『ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀』(歴史新書y65、洋泉社、2016年)を、執筆者のKさんより受贈。ありがとうございます。

17の論考からなっており、タイトルの通り本能寺の変と明智光秀の活動、その周辺における織田信長と周辺諸勢力との関係などについて、これまでの研究をもとにわかりやすく解説する内容となっています。タイトルからすると本能寺の変の「真相」というような内容をイメージしがちですが、それそのものよりも、信長の勢力拡大過程における諸勢力との関係について解説した論考が多く、かつ詳細で読み応えがありました。
読者にとっては、興味のあるテーマとそうでないものもあるかもしれません。その場合は興味のあるものだけを読み進めてもいいように思います。

相応の調整をしたかもしれませんが、内容については重複するところもいくつかありました。これだけの論者がまとまって一冊の本を書くとなると、それはどうしても避けがたいところではありますが。

本能寺の変がテーマとなると、しばしば突飛な議論で興味を惹こうとする著作も散見されますが、本書は実に冷静な態度になっていて、それがかえって面白味に欠けるという印象を与えるかもしれません。しかし、冷静な態度で厳然たる歴史的事実に向き合うことこそが、歴史に学ぶことであることを、本書は思い起こさせてくれます。

4800310652ここまでわかった 本能寺の変と明智光秀 (歴史新書y)
洋泉社編集部
洋泉社 2016-10-04

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2016.10.07

【受贈】『通貨の日本史』

高木久史『通貨の日本史―無文銀銭、富本銭から電子マネーまで』(中公新書2389、中央公論新社、2016年)受贈。ありがとうございます。

私が書いたわけではないのですが(笑)、ついに、というか、やっと出たというのが率直な感想です。この20年ほどで前近代日本の貨幣流通史研究は急速に進展したものの、それを一般向けの形で概説的にまとめた書籍は今までありませんでした。
それが新書の形で通史としてまとまったことは、私にとってもたいへん喜ばしいことです。

副題にあるように、日本初と思われる金属貨幣の無文銀銭から説き起こし、20世紀末の飛鳥池遺跡の発掘で沸いた富本銭などの古代貨幣の議論や、特に研究が進んだ中世貨幣の実態についてもわかりやすく解説されています。そして近世以降は、経済政策や市場経済との関わりから貨幣のあり方をわかりやすく説明されていて、経済史の概説書としても有用ではないかと思います。

一方、率直な感想なのですが、通史を新書で一冊にまとめるのはかなり難しかっただろうなあと感じたりもしました。特に中世については、もっと書きたいことがあったのではないかと勝手に想像しています。

なお、余計なことですが、中近世移行期に登場する「永楽銭」について、永楽通宝そのものとする今までの理解について私は疑問に感じています。もっとも、それについてはいくつかの論考で触れたことはありますが、当然ながらまだ仮説のレベルに留まるものです。それゆえ、「永楽銭」については本書の理解を通説として理解しておくべきでしょう。ただ、私自身はこの問題について検討を進めていきたいと思っています。

私にも機会があるかはわかりませんが、本書に学びつつ、違った視点から概説書が書けるよう精進していきたいと思います。

4121023897通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書)
高木 久史
中央公論新社 2016-08-18

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2016.09.20

【受贈】『長宗我部元親・盛親』

平井上総『長宗我部元親・盛親』(ミネルヴァ日本評伝選、ミネルヴァ書房、2016年)受贈。ありがとうございます。

伝記シリーズではありますが、本書は戦国大名長宗我部氏の盛衰を通して描いています。現時点における長宗我部氏研究の概要がこの一冊でつかめるという点で、有用な一冊になろうかと思います。

私が長宗我部氏の歴史に関する文献に初めて触れたのはもう20年以上前になりますが、その頃のおぼろげな記憶を掘り出して比較しても、まさに隔世の感があります。従来人口に膾炙していた長宗我部氏やそれに関わる人物についてのエピソードが、ほとんど覆っているような印象すらあります(笑)。
とはいえ、それが一般にどれだけ伝播したかとなるとまた別の話で、おそらくはひとたび築き上げられた旧来のイメージ(たとえば長宗我部元親の「姫若子」など)は強固でもあり、様々な形で再生産されて次世代にも受け継がれているのも確かでしょう。それを全否定してまわることが必ずしも有益とは限りませんが、なるべく最新の学説に触れる人が増えることを期待したいですし、このシリーズが果たす役割はそこにあるのでしょう。広く読まれることを期待したいです。

4623077624長宗我部元親・盛親:四国一篇に切随へ、恣に威勢を振ふ (ミネルヴァ日本評伝選)
平井 上総
ミネルヴァ書房 2016-08-10

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2016.08.20

【受贈】『戦国大名武田氏の戦争と内政』

鈴木将典『戦国大名武田氏の戦争と内政』(星海社新書86、星海社発行・講談社発売、2016年)受贈。ありがとうございます。

タイトルの通り、いわゆる戦国大名として16世紀に権力を確立し、結果的には滅亡に至る甲斐武田氏の通史をわかりやすく解説した内容となっています。
しかし「内政」ともあるように、武田氏の領国内における内政についても詳しく解説されており、ここに本書の大きな意義があるものと思います。具体的には検地を中心とした軍役賦課や税制の内実を具体的に説明していたり、分国法として知られる「甲州法度之次第」などの法整備の側面にも焦点を当てて詳しく説明していたりするもので、特に後半でこのような内容が中心となっていきます。
私個人も検地や税制に関心があるものの、武田氏についてはまだ不勉強だったので、本書で大いに示唆を得ることができました。

本書で示される戦国大名の性格として、領国内における紛争解決の手腕が権力の存立基盤であったという点を強調しており、これは近年の戦国大名論(領域権力論、とでもいうべきでしょうか)を踏まえた位置づけとなっています。
その中で、武田氏による徳政について取り上げている点は興味深かったです。徳政論も最近ではあまり議論されることがなくなりましたが、16世紀の徳政が持つ政治的・経済的意義について、私自身も今後考えてみたいと思いました。

前半は『勝山記』の記事を中心に組み立てた内容になっており、私自身もこの史料を通して読んでみたことがあるので、色々と議論になった記事を思い返しながら読みました。ただ、『勝山記』の分析あるいは武田氏の検地については、戦国大名論に絡んで重要な先行研究があると思うのですが、本書の参考文献には挙がっていないのはちょっと気になりました。(叙述の都合だろうと思います。)
それはともかく、現在の戦国大名像を武田氏からみるとどうなるかが、本書を読んでクリアに理解することができました。
最後にどうでもいい話なのですが、この新書のシリーズは講談社発売になっているのですね。初めて知りました。

4061385909戦国大名武田氏の戦争と内政 (星海社新書)
鈴木 将典
講談社 2016-07-26

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2016.07.25

【受贈】『秀吉の虚像と実像』

堀新・井上泰至編『秀吉の虚像と実像』(笠間書院、2016年)を、執筆者の方々より受贈。ありがとうございます。

帯にもあるように、歴史学と文学とのコラボレーションということで、豊臣秀吉やその周辺の人物像や、豊臣政権期における歴史的事件を題材として、その実像に関する研究の到達点をわかりやすく説明するとともに、その後に形成された伝承などの「虚像」がいかなる形で現代に伝わってきたのかという点を、テーマごとに対置しながら叙述されています。

個々の内容も一々興味深いですが、斬新なのはやはりこのようなコンセプトでしょう。歴史学側にいる私にとっては、実像として語られる内容はさほど違和感なくというか、自然と読める筋立てになっていますが、虚像編の叙述は不勉強ながらほとんど読んでこなかったスタイルなので、新鮮な感覚でした。

実のところ、歴史学と文学はなかなか交流が難しい関係だという印象をずっと抱いてきたのですが(これは私自身の自省にもなるかもしれません)、当然ながらコラボレーションという主旨なので、両者がそれぞれに持ち味を発揮した叙述が展開されており、まさに比較して読む愉しさを体感することができました。

あとこれは少々下世話かもしれませんが、このご時世で、しかもこの内容でありながら、400ページの分量で3000円程度の価格は少々驚きました。広く読まれることを願っております。

4305708140秀吉の虚像と実像
堀 新・井上 泰至編
笠間書院 2016-06-28

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2016.07.11

【受贈】『日本史のまめまめしい知識』第1巻

日本史史料研究会編『日本史のまめまめしい知識』第1巻(岩田書院、2016年)を、執筆者のCさんより受贈。ありがとうございます。

33人の研究者による短編集となっていますが、時代はほぼ中世史で占められています。テーマは様々ですが、帯に「教養として役に立つか、立たないか、そういうことは考えないシリーズ」という文言があってとても潔い。最近の研究成果の紹介を兼ねつつも、それぞれが読み物として読者の興味を惹くものがいくつかあれば、という意図で編纂されたもので、そういう読者が少しでも多く現れれば成功ということにになるでしょう。

書き手の側(研究者)は、論文執筆に際して、その研究にはどういう意味があるのか、どの点で社会に裨益するのか、といったことが常に問われています。もちろん研究にはそういう意義が必要であることは確かですが、たまにはそういう価値観から離れて、自分が面白いと思ったことを書く機会があってもいいのではないか。こうして生まれた企画ということでしょうか。

もちろんそれぞれの短文はそれぞれの執筆者による研究蓄積を経て執筆されたものなので、読み応えのある内容となっていますし、実は研究史上重要な指摘をしているものもあるでしょう。少しでも多くの人の目に留まり、そして日本史(中世史)に興味を抱く人が出ることを期待しています。

4866028017日本史のまめまめしい知識〈第1巻〉 (ぶい&ぶい新書)
日本史史料研究会編
岩田書院 2016-06

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2016.06.19

【受贈】『十四世紀の歴史学』

中島圭一編『十四世紀の歴史学―新たな時代への起点』(高志書院、2016年)を、編者の中島さん、執筆者のSさん・Nさんの連名で受贈。ありがとうございます。

文字通り14世紀の画期性について様々な分野から論じた一冊で、単に14世紀のみならず、日本中世史の諸分野の研究動向も把握する上で貴重な一冊だと思います。政治・社会・経済・宗教等々、考古学の成果も参照しながら論じられていて、私自身も大いに勉強になりました。

経済に関しては、特に生産活動に主眼が置かれた論調となっており、実はこの点には不得手な私にとって、とても参考になりました。むしろ、なるほどこういう視点で論じるのが有効な手段なのかと、方法論のレベルで大いに学ぶことができました。
むろん日本列島全域を対象とした論集ですが、やや東日本にフィールドが寄っているかもしれません。本書は時代的特質を照射する点が重視されていますが、今度は列島内での地域的差異の有無について学んでみたいと感じました。

4862151590十四世紀の歴史学: 新たな時代への起点
中島 圭一編
高志書院 2016-06-05

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