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2018.01.13

【受贈】『鎌倉を読み解く』

秋山哲雄『鎌倉を読み解く―中世都市の内と外』(勉誠出版、2017年)受贈。ありがとうございます。
内容は鎌倉時代における鎌倉の都市としての性格を論じたもので、論文集のため史料を引用しながら論じる専門的なものとなっていますが、詳しく説明がされていて、専門家でなくとも読みこなせるのではないかと思います。

鎌倉幕府のお膝元としての鎌倉を論じるものであるため、当時の鎌倉の都市空間の在り方は政治状況との関わりが当然ながら濃厚であるため、単なる都市史にとどまらず、鎌倉時代の政治・社会・宗教などと深く関わる内容になっており、大いに示唆を得ることができました。

ただ、やはり都市鎌倉を「読み解く」という主題にあるように、鎌倉の都市としての構造が考古学・人類学などの様々な分野の成果を採り入れながら緻密に分析されていて、鎌倉の歴史を知る上で重要な一冊になるだろうと思いました。

鎌倉は歴史都市として多くの観光客が訪れていますが、一般的な観光地(鶴岡八幡宮など)に飽き足らないコアな町歩きをしてみたい場合には、本書を片手に歩いてみると、違った側面を知ることができるように思います。最近では永福寺の復元が進んでいるようですが、本書で永福寺建立の経緯や伽藍の構成について、通説を詳しく検証しており、現地でそれを想像しながら見てみたいものです。(私は復元してからは行っていないもので…。)

鎌倉にはしばらく行っていませんが、本書を一読して、今一度歩いてみたいと思いました。
個人的な関わりでいえば、2009年に報告をお願いした歴研大会のことを懐かしく思い出しました。

4585221948鎌倉を読み解く―中世都市の内と外
秋山 哲雄
勉誠出版 2017-10-31

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2017.12.24

【受贈】『戦国おもてなし時代』

金子拓『戦国おもてなし時代―信長・秀吉の接待術』(淡交社、2017年)受贈。ありがとうございます。

連載をベースに一冊にされたそうで、いわば短編集といった趣ですが、いずれも読みやすくかつ興味深い内容で、勉強になりました。

タイトルにあるように、織田信長・豊臣秀吉周辺における接待の様子を復元するとともに、接待をめぐる人間模様を活写した内容となっています。信長の時代になると接待の在り方が大きく変わる様子が具体的に指摘されており、一層興味深いところでした。近年では信長を特別視することに対して批判的な研究が多く発表されていますが、この指摘はそれに一石を投じるもののように思えました。

参照されている史料は主に当時の茶人たちが遺した記録類や、イエズス会宣教師たちの日本観察の記録などが中心となっていますが、私はいずれも不案内な史料で、非常に勉強になりました。私もできればこれらの記録をきちんと読んでみたいと思ったものの、そこまでの時間がもう遺されているか…といった感も(まだ早い?)。

紹介されているエピソードはいずれも興味深いものですが、特に気になった点もいくつかったので、私なりに検討してみたいと思います。文章は平易でありながら、大いなる刺戟を得られる一冊です。

4473042022戦国おもてなし時代 信長・秀吉の接待術
金子 拓
淡交社 2017-10-04

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2017.12.18

【受贈】『近世の開幕と貨幣統合』

高木久史『近世の開幕と貨幣統合―三貨制度への道程』(思文閣出版、2017年)受贈。ありがとうございます。

専門書としては、前著を発刊されて以後の研究を中心にまとめられていて、主に西日本における16~17世紀にかけての貨幣流通の実態の分析が詳細になされています。当該研究は(私を含めて)集中的に取り組まれてきたものの、まだまだ事実関係で明らかでない点が多いわけですが、本書は新しい事実を次々と明らかにしており、研究段階をさらに進めた成果になっていま
す。
このほか、近世において発達する札≒紙幣の登場についても検討が深められており、副題にある「三貨制度の道程」のみならず、紙幣が発達する経緯についても押さえられている点が特筆されるでしょうか。

新しい事実発掘については、特に17世紀前半はまだまだ遅れている感がするわけですが、その中で、佐賀藩の貨幣鋳造の事実を取り上げられている点は興味津々でした。個人的には、「やはり九州ではほかにもあったか」といった感がします。東日本でも銭の独自鋳造の形跡はあるものの(永楽銭の枝銭出土の事実など)、やはり西日本、特に九州での鋳造が顕著だったとみられることが、佐賀の事例でもより明確化したような気がします。

自分の専門に最も近い内容であり、このほか興味深い論点はたくさんありますが、おそらくそれについて言及する機会が後にありそうなので、ここではこれくらいにしておきます。一般向けではないですが、日本の中近世移行期貨幣史研究の最新成果を余すところなく織り込まれた内容になっているので、多くの人にチャレンジしてもらえるといいなと思います。

4784219021近世の開幕と貨幣統合
高木 久史
思文閣出版 2017-08-10

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2017.11.19

【受贈】『岩波講座 日本経済の歴史』第1巻

『岩波講座 日本経済の歴史』第1巻(岩波書店、2017年)を、執筆者のHさんとSさんの連名で受贈。ありがとうございます。このほか執筆者の方々から抜刷もいただきました。

日本経済史の概説書といえば、一部を除いてたいていは近世(太閤検地)からスタートするのですが(それ自体思うところがあるわけですが)、このシリーズは遡って中世からとなっており、これ自体は画期的なものだと思います。

さて、叙述はいずれも具体的な内容になっていて、中世経済に関するこれまでの実証研究がしっかりとまとめられており、研究や教育の面で今後とも大いに役に立つ一冊となりそうです。把握していなかった新たな事実に加え、これまで通説化していた見解に修正を迫る考察などもあり、単なる研究史整理に止まらない内容になっているように感じました。

さて、人文的な日本史研究からみて異色なのが、序章の人口史の考察でしょう。断片的なデータを基にした考察は、それまでの研究とは異なる内容の指摘もあり、その指摘にどのように向き合うかを考える必要がありそうです。
とはいえ、提出されたデータがどこまで信用に足るものなのかについて、私自身は不勉強ゆえ確信が持てないのも正直な感想です。関連研究を実際に当たってみて、自分なりに信憑性について考えてみたいと思います。仕事山積で八方塞がりな現状にあって、いつ取り組めるかはわかりませんが…。

4000114018中世 11世紀から16世紀後半 (岩波講座 日本経済の歴史 第1巻)
中林 真幸ほか編
岩波書店 2017-07-12

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2017.10.13

【受贈】『信長研究の最前線2』

日本史史料研究会監修・渡邊大門編『信長研究の最前線2―まだまだ未解明な「革新者」の実像』(歴史新書y73、洋泉社、2017年)を、執筆者のKさんより受贈。ありがとうございます。

タイトルを見れば瞭然ですが、織田信長をめぐる近年の研究動向を一般向けに解説するもので、好評だったのでしょうか、第二弾として出されました。
前半は上洛以前の信長をめぐる情勢についての内容が多くなっています。史料的制約が大きく、上洛後に比べるとわからないことが多い時期ですが、その中で当時の信長をめぐる地域事情や、信長の行動の背景などについて詳しく解説されており、勉強になりました。

後半は、上洛後に構築した権力の在り方についてや、イエズス会宣教師、商人との関係などについて触れられたものが多くなっています。この辺りは私の関心に近いものも多く、興味深く拝読しました。中でも、『今井宗久書札留』に再び注目が集まっているのでしょうか、堺商人と信長との関係について、単なる経済的側面のみならず、当時の政治動向との関わりを重視する内容に関心を持ちました。

すべての内容を紹介できませんが、読み応えのある一冊となっています。初心者向けとは言えないかもしれませんが、信長に興味のある人に広く読まれることを期待します。

4800313066信長研究の最前線2 (歴史新書y)
日本史史料研究会監修・渡邊 大門編
洋泉社 2017-08-03

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2017.09.25

【受贈】『平安期の女性と政治文化』

服藤早苗編『平安期の女性と政治文化―宮廷・生活・ジェンダー』(明石書店、2017年)を、執筆者のNさんより受贈。ありがとうございます。

主に10世紀頃(一部は鎌倉時代)を中心に、宮廷の女性の政治的役割・文化との関わり・生活習慣に関わる事項などを論じた論集です。私は対象とする時代やテーマに全く疎く、これまでの研究史についてもほとんど知識がないため、掲載されている論考はいずれも新鮮さを感じながら読むことができました。
とはいえ、やはり素人にはなかなか難しいことも多く…。不勉強を痛感します。

本書ではじめに触れられる研究史を踏まえると、平安期になると徐々に男性重視の社会体制が構築され、女性の社会的地位が低下し固定化したと理解されているようですが、それでもなお、平安期には依然として女性の政治・社会・文化における役割が軽視できないものであることが、各論考において共通したモチーフになっているように読み取りました。

本書はかなり専門性の高い書籍ですが、価格の安さに驚きました。研究者のみならず、広く一般の多くの読者に手を取って貰うための決断でしょう。そうなることを期待します。

4750344818平安朝の女性と政治文化――宮廷・生活・ジェンダー
服藤 早苗編
明石書店 2017-03-30

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2017.09.09

【受贈】『琉球史料学の船出』

黒嶋敏・屋良健一郎編『琉球史料学の船出―いま、歴史情報の海へ』(勉誠出版、2017年)を、編者の黒嶋さんのほか、執筆者のHさん・Sさんの連名で受贈。ありがとうございます。

近年では化学分析も積極的に採り入れつつ、文書の形態や物質的側面からその背景を探る研究が深まっており、それによって新たな知見が得られるようになってきました。ただし琉球関係史料についての分析はまだ始まったばかりといえ、本書がその起爆剤になる研究ということになるのでしょう。

必ずしも琉球に直接関わらない論考もありますが、多くの発給文書自体のみならず、覚書などの記録類(二次史料)や、外交文書の綿密な分析などは、文書を扱う際の知見を多く与えてくれるものでした。私自身はむしろこの方面には疎いというか無頓着なので、自らを戒めたいところです。

示唆的な見解はいくつもあったのですが、黒嶋さんによる島津氏が発給した琉球渡海朱印状の分析の中で、島津氏が発給主体を組織(役職)ではなく個々の人格に求めようとしたとし(発給者の署名を要求したことから)、「国王や三司官という地位・組織によって文書を出している琉球と、当主や老中という個々の人格による俗人的(かわと注:属人的?)な支配関係を前提とする島津氏側(日本側)の、認識のズレを示すものとして興味深い」(322ページ)とする点は、私も興味深いところでした。

4585221751琉球史料学の船出―いま、歴史情報の海へ
黒嶋 敏・屋良 健一郎編
勉誠出版 2017-05-25

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2017.08.16

【受贈】『交換・権力・文化』

桜井英治『交換・権力・文化―ひとつの日本中世社会論』(みすず書房、2017年)受贈。ありがとうございます。

待望の論文集、というべきでしょうか。中世後期日本を中心とした贈与の社会的・経済的意義については、一般向けに新書がすでに刊行されていますが、本書はそのベースとなった論文集といってよいでしょうか。

特に室町期に発達した贈与慣行について、頻繁に用いられた折紙(贈与する金品の目録)の機能に注目した論考や、16世紀にかけての貨幣流通の動向など、以後の研究に大きな影響を与えた内容が多く含まれています。1570年代の「びた」に関する新稿もあり、興味深く拝読しました。

さて、簡略ながら、読後に二つの点で自らの関心に副って思うところがありました。

まず一つ。筆者も触れているように、15世紀に折紙の贈与が盛行した背景の一つに、現銭の調達の困難さがあったことが想定されています。この点について思い当たるのは、この時代は為政者周辺で空前の活況を呈した一方、経済の潤滑化に欠かせない貨幣(銭)の供給はむしろ頭打ちになったと考えられるため、特に京都周辺で銭不足が慢性化しつつあった可能性が考えられることです。そうであるならば、折紙が流行ったのは、かかる事情からも説明できるのではないかな…などと思ったりしました。

もう一つは、新稿の1570年代の「びた」について。ここで筆者は先行研究における先進性を再発見しています。この点は私も反省を含めて改めて勉強になりました。その上で近年の議論について考えるのは、結局「びた」というのははじめから低銭(元々価値の低い銭)であったとの見解が最近は有力になりつつある、という点です。
この点について思い返すと、想起されるのは、グレシャムの法則(「悪貨は良貨を駆逐する」)が当時の貨幣経済に作動したかどうかという議論が戦前にあったことです。これまでの研究史では、グレシャムの法則が作動しなかったとする立場が定説となっていましたが、「びた」が低銭=悪貨だとするならば、この問題を改めて問い直す必要があるのかもしれません。

後者は本書の内容とすぐさま関わる内容ではないのですが、本書を通じて、改めて研究への示唆を得られました。(実際にこういう論点を今後掘り下げるかはわかりませんが…。)

4622086115交換・権力・文化――ひとつの日本中世社会論
桜井 英治
みすず書房 2017-06-10

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2017.07.23

【受贈】『今川氏研究の最前線』

日本史史料研究会監修・大石泰史編『今川氏研究の最前線―ここまでわかった「東海の大大名」の実像』(歴史新書y71、洋泉社、2017年)を、執筆者のKさんより受贈。ありがとうございます。

今年の大河ドラマと深く関わる戦国大名今川氏をテーマとしたものであることは言うまでもないことですが、現時点での今川氏の研究成果について解説する内容となっています。

本書の冒頭にもあるように、今川氏は戦国大名としては滅亡した経緯がよく知られているため、どちらかというと地味というか、世間ではあまり注目されない一族であるような印象がします。
ところが、戦国大名研究においては、むしろ長らく戦国大名の典型の一つとして多くの研究成果が蓄積されてきました。中でも今川氏親が制定した「今川仮名目録」と、後に今川義元が追加した条々は、戦国大名によるいわゆる「分国法」の制定の代表例として著名ですし、その内容も極めて重要なものとして高く評価されてきました。

このほか、東海地域の戦国大名として君臨した歴史を持っているため、言うまでもなく織田信長や徳川家康、そして彼らの被官となる国衆たちなど、江戸時代にかけて領主として生き残った多くの一族の歴史にも大きな影響を与える大名でもありました。(その代表の一つが井伊氏なわけですが。)
そんな今川氏が大名としていったい何をしたのかについて、これまでの研究成果を踏まえながら、多岐にわたって具体的に説明が施されています。

ただ、率直に言うと、内容はかなり高度で、この時代に対するかなりの興味あるいは知識がないと、すべてを読みこなすことは難しいように思います。さしずめ日本中世史を専攻する学部生レベルといったところでしょうか。初めて興味を持った初学者クラスでは、歯が立たないかもしれません。もっとも、そのため読み応えは十分ですので、チャレンジする人がたくさん出て欲しいと思います。

4800312639今川氏研究の最前線 (歴史新書y)
日本史史料研究会監修・大石 泰史編
洋泉社 2017-06-02

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2017.07.14

【受贈】『織豊期研究の現在』

織豊期研究会編『織豊期研究の現在〈いま〉』(岩田書院、2017年)を、執筆者のMさんより受贈。ありがとうございます。

名古屋を中心に活動する織豊期研究会が発足して20年を記念して編集されたもので、元は記念のシンポジウムをベースとしています。私も当日は出席したので、当時の報告や議論が(断片的ではありますが)蘇ってきました。

織豊期という時代区分は今では一般的ですが、当会の活動がその認知の拡大に大きく寄与したといえるでしょうか。中世と近世の狭間にあり、そのため業界のニッチになりがちだった時代だったような印象がありましたけれども、今や活発な議論が交わされていて(私もその末席を汚していますが)、そこに果たした当会の役割の大きさを改めて認識します。

本書での議論も多彩で、織豊期研究の広がりを実感することができますが、長らく議論されてきた積年の課題の中には、いまだ決着をみない論点もあり、それも浮き彫りしている感もしました。私がそれに貢献できる自信はありませんが、本書より多くの示唆を得て自分なりにがんばっていきたいところです。

4866029951織豊期研究の現在(いま)
織豊期研究会編
岩田書院 2017-06-01

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