2008.06.22

鎌倉大仏の材料は銅銭

6月21日付の朝日新聞東京版朝刊に、表記のようなコラムが掲載されていました(記事はこちら)。
その元ネタとなったのは、記事にある通り、小田富士雄ほか編『経筒が語る中世の世界』(思文閣出版、2008年)。私はまだ未読なのですが、中でも対象となっているのは、巻頭の飯沼賢司さんのご論文かと思います。

簡単にまとめると、12~13世紀の日本は原料銅不足のため、中国から銅銭(銭貨)を輸入してその用途に充てた、という内容になっているようです。で、その余分が貨幣として流通した、と。

科学分析については私はよくわからないので、その結果は事実として認めたく思います。確かに銭貨普及期である当該期においては、貨幣としてというだけではなく、そもそも資源であり原材料として珍重されていた可能性はかなり高いと思います。

ただし、最後っ屁のようですけれども(笑)、一言だけ言いたいことが。

「余った分がしだいに通貨として使われるようになった」という一節について、材料用途が先行するという道筋にのみ限定することについては少し疑問です。材料としての用途がこれまでほとんど注目されなかったことに対する批判は重要なのですが、それを強調する結果、本来の貨幣としての意味を軽視する必要はないようにも思うんですが。

詳しいことは読んでみないとわかりませんが、例えば鎌倉大仏を造るためにどれだけの量の銭貨が充当されたかを知りたいところです。要するに、実際に当該期に入ってきた銭貨の量に対して、銅製品への用途がどれほどの割合で充てられたかについて考察をした上で、銭貨の普及過程について再検討するという手順がやはり順当ではないかな、と思いました。おそらく記事にはないだけで、本を読めば書いてあるかもしれませんので、未読時点での勝手な感想ということですが。

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2008.05.28

シンポ開催迫る

いよいよ「室町殿」ミニシンポが今週末に迫ってきました。
どうぞ宜しくお願いします。
予想以上の反響をいただいている感触で、当日はやや混雑するかもしれません。お早めのご来場をば。

先週末は国史学会で鎌倉後期政治史のシンポを拝聴。私はまったくの門外漢でしたので、基礎的な事実のレベルから勉強になりました。
ただどなたかが似たようなことを仰せになっていましたが、議論の中心となった「主従制」という概念に関して、もう少し突っ込んだ議論が聞きたかったなぁ…と思ったりも。あとは、もう少し討論の時間が欲しかったですね。
会場の国学院には渋谷駅からバスに乗っていくのが一番いいと思っていましたが、埼京線の出口からだと結構近いことがわかりました。今後はこのルートにしようと思います(今度はいつ行くかわからんけど)。

Yasutomi_3さて、国史学会では、歴研大会で買いそびれていた、シンポの報告者でもある桃崎有一郎編著『康富記人名索引』(日本史史料研究会、2008年)購入。精力的なご活動に頭が下がります。
もっとも、私は肝腎の『康富記』を持っていなかったりしますが…。やっぱり以前のセールの時に買っておけば良かったかなぁ。

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2008.05.21

中世共同体論の新たな一冊

Kawabata先日の歴研大会での購入書籍から。
川端泰幸『日本中世の地域社会と一揆―公と宗教の中世共同体』(法蔵館、2008年)。「在地社会において形成された公が地域秩序を形成し、やがて一揆という運動を起こし、それが統一権力との対峙を経て解体されていく過程を考察する」(18頁)という内容です。
具体的には紀伊国の惣国一揆を中心的な対象にしておられます。紀伊については長年研究対象として注目され続けてきたわけですが、近年ではやや下火になってきた感もあったので、新たな議論を喚起するきっかけになりますでしょうか。
かくいう私も紀伊についてはほんと不勉強でして…。あまりに研究史が分厚くてなかなか踏み出せないといった情けない状態なのですが、読んでしっかり勉強したいと思います。
理論を戦わせる“空中戦”もいいですが、地道に史料を丹念に読み解く中から論点を炙り出すといったスタイルは、やっぱり読んでいて安心しますね。値段もお手頃です。

ところで、著者の川端さんは私より若かったのか…。

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2008.04.28

締切、観戦、沈酔

この一週間はいろいろとありました。ただ、〆切に追われているので、細々とした話はまた機会があれば…。
それにしても、先週は酒量が半端ではなかったです。少々反省。

旧知のIさんより、加能史料編纂委員会編『加賀・能登歴史の扉』石川史書刊行会、2007年)受贈。ありがとうございます。
刊行中の『加能史料』の会報に新稿を加えたものとのこと。ふとしたきっかけから私も加賀で論文を書いたこともあって、それぞれのお話に興味津々です。
戦国期はまだ刊行途中ですが、この地域はわりと史料も豊富で、卒論・修論などのネタ探しにはおすすめです。

そして今季初観戦。ひでえ結末でしたが、まあそれなりに楽しめました。
観客の少ない雰囲気はなんだか懐かしかったです。不人気チーム同士のカードならでは(笑)。
ただ、またしばらくは行けないなぁ。去年もそれまでに比べてだいぶ減りましたが、今年はさらに観戦機会が激減しそうです。

〆切原稿を一つクリア。あと二つ。苦悶。
さらにまた書類が降ってくる。年度初めの恒例とはいえ、ほんと書類(論文ではない)を書くのは辛い作業です。秘書が欲しい。給料払えないけど(笑)。

この間、いくつか御本や抜き刷りをお送りくださっていますが、お礼が遅れております。申し訳ありません。もう少ししたら(歴研大会の頃?)一本活字が出来上がりますので、それまでお待ち下されたく…。

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2008.04.12

「海域アジア史」のすすめ

桃木至朗編『海域アジア史研究入門』(岩波書店、2008年)をやっと購入。
「一国史観」の問題が叫ばれて久しいわけですが、「国境」を越えた研究の一つの到達点といったところでしょうか。「入門」と題がついていますが、専門的にも研究史を理解する上で非常にありがたい一冊です。

この本の母体となった「海域アジア史研究会」には私も末席を汚しておりますが(本当の意味での末席)、最近はなかなか出席することもできず、忸怩たる思いでおります。もっとも、自分の研究も少し逸れていってしまった感もあるのですが…。
とはいえ、もちろん「海域アジア史」の理念は深く刻み込みたいと思っております(実現できているかはともかく)。
最近やや「内向き」ですが、どのようにすればコミットしてゆけるかは常に考え続けたいところです。

文献目録も非常に有用ですので、専門ではない方も是非一冊どうぞ。

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2008.04.03

新年度始動

今日は、新年度初めて新拠点へ赴く。
パソコン廻りの環境が予想とは少し違ってたけど、とりあえずはこの上ない環境でなによりです。
ただ、この大学、喫煙者にとってはさらに厳しい事態になってたのが辛いなぁ…。肩身が狭い。

聞くところによると、いろんな方が新年度に新たな道へ進まれておられるそうで、重畳。私も危機感をもってやらねばなりませんねぇ。

百々幸雄・竹間芳明・関豊・米田穣『骨が語る奥州戦国九戸落城』(東北大学出版会、2008年)受贈。ありがとうございます。人類学・考古・文献の共同研究成果のようですが、人類学の考察が入っているのが特徴的でしょうか。
あと、たまたま寄ったとある古書店で宮本正興・松田素二編『新書アフリカ史』(現代新書1366、講談社、1997年)が目に留まったので、購入。アフリカについてはまったくの無知なので、読んで勉強したいと思います。仕方がないとはいえ、アウストラロピテクスからスタートしつつも、やはり分量の半分以上は近代以降なんですね…。

骨が語る奥州戦国九戸落城骨が語る奥州戦国九戸落城
百々 幸雄

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新書アフリカ史 (講談社現代新書)新書アフリカ史 (講談社現代新書)
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2008.04.01

『寺社勢力』復刊

黒田俊雄『寺社勢力―もう一つの中世社会』(新書黄117、岩波書店、1980年)が5月に復刊するそうです。

恥ずかしながら持っていないので、朗報。いわゆる「顕密体制」論を知る上で貴重な一冊なわけですが、楽しみです。

寺社勢力―もう一つの中世社会 (1980年)寺社勢力―もう一つの中世社会 (1980年)
黒田 俊雄

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2008.03.09

所沢の古本まつり二回目

前回に行ったのはいつだったかなぁ?などと思いながら行ったんですが、調べてみると前回はほぼ1年半も前だったんですね。思ったよりあいてたんだなぁ。

あまり買わないつもりだったんですが、やっぱり使ってしまう。ほかに欲しい本もたくさんあったんですが、さすがにそこまで散財する余裕もなく、断念。
それにしても、『岩波講座日本歴史』の近世1、やっぱりだぶってました…。しかも買ったのは同じ所沢で。破格値だったから懐はほとんど痛んでいませんが、やれやれ。

以下戦利品。
『日本絵巻大成4・信貴山縁起』(中央公論社、1977年)
→現時点で、アマゾンの最安のほぼ1割の値段だった。状態もよく、いい買い物でした。
鈴木良一『日本中世の農民問題』(校倉書房、1971年)
→安かったけど、箱はボロボロ。
『岩波講座日本歴史』10・近世2(岩波書店、1975年)
→2刷。なんと50円(笑)。

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2008.03.03

専門方面の耳学問

先週は2日間にわたって自らの専門に関する研究会に出席。
とても刺激的でした。でも、私は自分の専門に近ければ近いほど寡黙になるので(笑)、無愛想なやっちゃなぁと思われたかも。
今抱えている原稿を書く上でも参考になりました。というか、困ったことになりました(笑)。
なお、この研究会で対象となった書籍ですが、書評をする機会をいただいております。枚数的に大したことは書けないと思いますが、何か新しいことが書けるかどうか…。

岩波文庫の『吾妻鏡』、まとめて購入。また品切れになると次がいつになるかわからないので、早々に押さえておく。結構痛い出費ではありますが…。

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2008.01.31

多摩郷土誌フェア

05takahata…というのが立川のオリオン書房で開催されているということで、先日行ってきました(すでに終了)。

もう20回目なんですねぇ。私はつい先日初めて知りました。規模は予想よりややこぢんまりしていましたが、多摩の各自治体の歴史に関する刊行物がずらりと並んでいました。
ただ、自治体だけじゃなくて、地方出版もあればいいんじゃないかと思うんですが。

買うつもりがあまりなくとも、やはり買ってしまうもの(笑)。

『日野市史史料集・高幡不動胎内文書編』(日野市史編さん委員会、1993年)
『国分寺市の文化財』(国分寺市教育委員会、2002年)
図録『特別展・正福寺展』(東村山ふるさと歴史館、2007年)

ちなみに、写真は以前撮った高幡不動本堂(東京都日野市)。
(正福寺についてはこちらで以前触れました。)

このフェア、年に一度、1月下旬に開催されるようです。ただ、ラインアップを見る限り、毎年行くというより何年かに一度くらい行くのが丁度いい感じでした。ともあれ、今後も長く続けていただきたいですね。

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2008.01.09

地域の好著二冊

ネタ切れ気味なので、最近買った本から2冊紹介。
いずれも地域密着的な内容ですが、それでいて意義深いものです。

まずは谷口一夫『武田軍団を支えた甲州金・湯之奥金山』(シリーズ「遺跡を学ぶ」39、新泉社、2007年)。正直言ってタイトルにやや不安を覚えましたが(笑)、なかなか重厚な本です。
甲斐における金山遺跡を中心とした解説がされているもので、特に山梨県身延町にある湯之奥金山遺跡の発掘調査の報告が中心となっています。カラー写真が多く掲載されており、とても見やすくなかなかの好著でした。以前岩手の金山遺跡を実見しましたが、そこで見たものと当然ながら一致するものが多く、とても興味深いです。たまたま書店で見つけて買ったのですが、思わぬ掘り出し物でした。

もう一冊は、滋賀県教育委員会編『近江城郭探訪―合戦の舞台を歩く』((財)滋賀県文化財保護協会発行・サンライズ出版発売、2006年)。これは去年滋賀へ行った時に買いました。滋賀県内の城跡探訪コースを解説したもので、縄張り図や写真が多く掲載されており、城跡を見るには格好のガイドブックと言えそうです。今度滋賀へ行く時は、是非とも参考にしたいと思います。
サンライズ出版という所は滋賀の地方出版社のようですが、郷土史関連の書籍をたくさん出しておられるようですね。ほかにいくつか面白そうな本もあるので、いずれ購入を検討したいと思います。

4787707396武田軍団を支えた甲州金・湯之奥金山 (シリーズ「遺跡を学ぶ」 39)
谷口 一夫
新泉社 2007-09

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2007.12.15

速報 岩波文庫『吾妻鏡』復刊

竜粛訳注『吾妻鏡』(岩波文庫)の既刊分(全8巻中5巻まで)が2月に復刊するそうです(詳細はこちらこちら)。
私も復刊希望に昔投票していましたが、ずっと品切れだったので、実にありがたいことです。

…もっとも、完結していないのが玉に瑕ですが。どうにかなりませんかねぇ?

ちなみに現代語訳版も売れ行きが良いそうですね。

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2007.12.09

最新研究の二冊を頂戴す

新たに二冊のご著書をご恵贈いただきました。

まずは清水亮『鎌倉幕府御家人制の政治史的研究』(校倉書房、2007年)。ありがとうございます。私はまったくの門外漢ですが、大いに勉強させていただきたく思います。近年は中世前期の武士論がとても活発になっていて、私はなかなかついて行けないのですが…(笑)、拝読して少しでもキャッチアップできればと思います。

もう一冊は、鈴木公雄編『貨幣の地域史―中世から近世へ』(岩波書店、2007年)。執筆者のCさんとSさんの連名でお送りくださいました。ありがとうございます。こちらはもろに専門に被っているので、戦々恐々です(笑)。まだ巻頭のKさんのご論文を拝読しただけですが、早くも先行研究とは全然違う話が満載ではないですか…。抱えている原稿に大いに影響してしまう恐ろしい一冊となりそうです(原稿を待っておられる方には、ご迷惑をおかけするかも…すみません)。
それにしても、常に走り続けないと取り残されるハードな分野になってますね。なんだかハムスターな気分。ともあれ、大いに刺戟を受けたいと思います。

4751739107鎌倉幕府御家人制の政治史的研究 (歴史科学叢書)
清水 亮
校倉書房 2007-12

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4000224794貨幣の地域史―中世から近世へ
鈴木 公雄
岩波書店 2007-12

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2007.11.29

自我忘却への階梯

このところ、わけあっていろんな方の論文を拝読しております。
いや、とても勉強になりますし、刺戟にもなるんですが、なんか…自分の研究を忘れてしまいそうです(笑)。

急遽、自分の研究について報告する機会があったのですが、なんかいろんなことを忘れていたというか…、いや、まずいですなこれは。突っ込まれた点に対して、うろ覚えに任せて心にもないことを口走ってしまい、墓穴を掘って支離滅裂に。

来週にはだいぶ落ち着くので、自分の研究を復習せんとなぁ…(笑)。
もしやこれは…、老化?


ヨタはこの辺にして。
荒木和憲『中世対馬宗氏領国と朝鮮』(山川出版社、2007年)受贈。ありがとうございます。
対外関係というと、どうしても海外史料(中世の場合は主に中国・朝鮮)に注目が集まりがちで、それらの諸国の動向に歴史像が引きつけられがちなんですが、そうした視点ではなく、日本の中世史的特質に注目する形で、武家領主としての宗氏の権力の在り方も見据えながら対外関係像を描出しておられます。分野こそ違え、私自身も問題関心としては共感しておりますので、勉強させてもらっています。

山川だからなのか?定価が控えめですね。最近、別の某社の価格設定はエスカレートしすぎではないかと思ったりもするんですが…。こういう時代だから仕方がないということになるんですかねぇ。

中世対馬宗氏領国と朝鮮 (山川歴史モノグラフ 12)中世対馬宗氏領国と朝鮮 (山川歴史モノグラフ 12)
荒木 和憲


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2007.11.05

博士もつらいよ

水月昭道『高学歴ワーキングプア―「フリーター生産工場」としての大学院』(新書322、光文社、2007年)読了。先月発売でしたが、私が買ったのはもう3刷。結構売れているようですね。
いくつか書評をしているブログを拝読しましたが、書いている人は院生が多いみたいですね。やはり、「業界人」の興味を引いているようで(笑)。

それらのブログでは既に書かれている通り、いずれも事実としていかにもありそうだとは思えるので、そういう点ではリアリティがあるものの、悲惨な事例と業界脱出の成功例がどちらも事例としては極端で、そこから一般化するのはやや強引な気がしました。あと気になるのは、前半はその実態が「生々しく」描かれているものの、終盤はなぜか教育論一般に軸足がシフトしている感じがして、コンセプトとしてはもう一つ一貫性に欠けている感もあります。

本書の目的は、あまり目が向いていない大学院(またはポスドク)の実情を大衆にアピールするという点にあり、その点において今後の反響は期待されるところです。しかし、構造的分析になると、やや物足りない。大学院重点化の「犯人捜し」も興味深いですが、ポスドクの進路が問題化している現在的な問題にもっと目を向けた形での、冷徹なデータ分析があってもよかったのではないでしょうか。これも既に言われている所ですが、大学院修了後「行方不明」が10%にもなることについて、そのまま進退窮まった人の割合として鵜呑みにするのは、少し強引だと思います。この辺は、調査の正確性を吟味すべきだったでしょう。

あと、重点化によって教員が進学を薦めたことを指弾していますが、少なくとも私は、大学院進学を薦められたことは一度もありません。「やめた方がいい」というのは結構言われましたが(笑)。

…と批判ばかりするのもなんなので(笑)、一つ本書の重要な指摘を。院生に対しては、その養成に際して多くの公費が投入されている、という点です。つまり、形としては(国民が知ってか知らずか)、大学院における研究者養成には社会的投資がかなりの規模でなされており、そうして生み出された修士・博士が、その専門的素養を活かせないで居るというのは、結果として社会全体で莫大な経済的損失を生み出しているということです。

「そんな助成は打ち切ってしまえ」となるか、「その投資が損失とならないよう対策を講じるべきだ」となるかは、今後の日本の学術政策において大きな選択になるかもしれません。少なくともそこへの議論を喚起する可能性を持った一冊になるかも…とは思いました。もっとも、読者層が「業界人」に露骨に偏っていると、効果は見込めませんが(笑)。「業界」の外にどれだけ読者が広がるかが見物です。

大学院の問題は、国会でもほとんど話題にならないんですよねぇ…。ほかに比べると緊急性が低いということになると、そうかもしれませんが、文科省もあまり触れたくはないんでしょうね。

高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
水月 昭道


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2007.10.26

中世後期のありがたい一冊

先日の日本史研で、中世後期研究会編『室町・戦国期研究を読みなおす』(思文閣出版、2007年)購入。
まだ全部読んではいませんが、この時代を勉強している者としては非常にありがたい一冊です。

私も以前自分の研究に引きつけて研究史整理を書いたことがありますが(なんのことはない、博論の序章代わりだったわけですけど…)、戦後も時が過ぎ、研究の蓄積が厖大になってきたので、その整理をするのは簡単ではありません。一つの分野を学ぶのに、それこそ100に達するような数の文献を読まないといけない…というのもザラです。

それだけに、それを限られた枚数で整理して、今後の課題を炙り出すというのは容易なことではありません。執筆者の皆さんのご尽力には頭が下がる次第です。

下世話な話ですが、授業の準備に大いに活用させてもらっています(笑)。ところで、13の論考からなっていますが、この数字、授業する側として考えると、上手くできてるなあ…などと思ったり。内容的にも価格的にも、日本史専攻の学生相手じゃないとちょっと難しいかなとは思いますが、今後、当該期研究の入門書として広く読まれることを期待したいと思います。

室町時代に関しては、最近若い世代で研究が活発になってきましたね。ただ東京では交流活動はまだ低調というか…(というか、私が輪に入っていないだけかもしれませんが(笑))。私もそろそろアクションをしようかと、有志を得て現在模索中です。

末筆ですが、執筆者のお一人のYさんから抜き刷りを頂戴いたしました。ありがとうございます。私の方からは…、ちと事情がありまして、来月までお待ち下さい(ってご覧になっているかどうか定かではありませんが)。すみません。

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2007.07.27

暑い季節、研究の季節

突然、猛烈に暑くなりました。嫌な季節がやってきたなあ。
いくつかご同業のブログを拝読すると、どうもみんな夏嫌いの印象というか(笑)。もちろん文面で判断しただけなので実際はわかりませんが、この業界、夏が苦手な人が多いんでしょうか。

といっても貴重な夏休み。ここぞとばかりに調査に出かける方も少なくないかと思いますが、かつてはクーラーなんてものはない中で、煌々とライトを照らしながら写真撮ったりしてたもんで…。しかも文書が飛ぶから扇風機もない。うちわだけ。私もむかしお手伝いしたことがありますが、あれはまさに地獄。

今はデジカメになったり、クーラーが効いていたりすることも多いでしょうから、それなりに快適に作業ができるようになったとは思いますが、やはり耐性というのは落ちてしまいますね。すっかり暑さに弱くなってしまい、あやうくぶっ倒れそうになりました(単純に昨日飲み過ぎただけとも?)。

ついでながら、↓を購入。

金・銀・銅の日本史 (岩波新書 新赤版 1085)金・銀・銅の日本史 (岩波新書 新赤版 1085)
村上 隆


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2007.06.21

新書万能の空気

新境地ってほどではないんですが、現在とある分野の勉強をしようと関連論文から参考文献を辿っていたところ、非常にタイトルに惹かれる新書を見つけました。ただ何年か前の刊行で、大学生協や近所の書店には無かったので、注文して取り寄せてもらったわけです(要するに、ここまでは中身を確認していない)。

で、いざ届いて開いてみると…。なんと、タイトルと合致した内容は全体の1割ほどしかないではないか。しかも書き下ろしでもなく、読みたかった内容の部分については、既に持っている別の本に入っているものでした…(少し手を加えた、とは書いてありますが)。

いや、かといってこの本と著者を非難するわけではありません。一つ教訓を得たことは、そうか、新書=書き下ろしっていう先入観が失敗の元だったなぁ、と。いわば「短編集」のような本で、それゆえタイトルと合致した内容がその一部だったわけです。これについては、少し出版社(担当編集者)に愚痴をこぼしてもいいかもしれませんが…(笑)。

個人的には、新書は書き下ろしには手頃な分量のジャンルだというイメージがあったので、まさか「短編集」のような形式があり得ることは今まで考えが及びませんでした。そうか、最近はこういうのもあるのかぁ(むかしからあったかもしれませんが)。最近は点数が莫大に増えている影響かもしれませんが、正直、新書は書き下ろしだけにしてほしいなぁ、と思うんですが。

ところで先日、上記の本とは別に(ここは強調しておきますが(笑)、別の本です)、今谷明『近江から日本史を読み直す』(現代新書1892、講談社、2007年)購入。これもよく見てみると、産経新聞の連載をベースにしたものだそうで。かつては、新聞の連載を一冊にまとめる場合でも単行本にしてたように思うんですが、最近は新書で出すケースも多いんでしょうねぇ。出版社もちと新書に頼りすぎではないか?という気もするんですが。
余談ながら、講談社現代新書はずいぶん久しぶりに買いましたが、やっぱり昔のカバーデザインの方が良かったなぁ…。これもコストカットの影響かと思うと、「経費節減」というのは味気ないものだなぁ、などと思ったりもします(ほとんど言いがかりですが(笑))。

で、今谷さんの本ですが、まだ途中までしか読んでいないんですけど、所々叙述がやや強引な気も…。まぁ、そういうコンセプトとも言えますが。滋賀の歴史のガイドブックとしては手頃でそれなりにマニアックですから(笑)、良いのではないかと思います。

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2007.06.04

まつりを終えて

某大会(伏せるのも白々しいですが)終了。実質一年間はこの二日間のためにあったようなところもあるので(しつこいですが、もちろん私は報告者ではないんですけど(笑))、大きな肩の荷が下りたところです。

当然ながら議論は徹底して聞き役だったわけですが、いろんな立場の方がいろんな立場で発言されていて、面白かったです(具体的には多くは語らず)。個人的には、去年の日本史研に続いて、「在地領主」という言葉そのものを使い続けることの有用性そのものから見直さねばならないのではないか、と最後の方で話したOさんの指摘が、一番心に残っています(いや、抜き刷りをいただいたからよいしょしているのではありません(笑))。
長らく中世史研究において利用されてきたタームが、研究状況の変化に必ずしも対応しきれていないのではないか…。この点、某誌の最新の書評(ずいぶん話題になってます。それに引き替え私の文章は反応がいまいち…?(笑))にも言及があって、なるほど用語一つとってもいわゆる「歴史と現在」の問題が内包しているのか、と気づかされます。

さて、もう一つの主役?書籍展示。今年は貧乏なので出版社のブースは一切立ち入りませんでした。まさに「目の毒」なので。
というわけで土曜日に雑誌等のブースをさらっとまわりましたが、買わないつもりでも、やっぱり買ってしまうもんです。
まず一冊目が、中島善久編著『日本史史料研究会研究叢書1:官史補任稿 室町期編』(日本史史料研究会、2007年、詳しくはこちら)。これは某掲示板を見て知っていて、はじめから買うつもりでした。1500円はほんと安いです。力にはなれませんが、この価格帯での続刊を影ながら応援いたします。

直接関係無い話ですが、こういう基礎的考察作業というのは、おそらく大学のゼミなどで結構されているようにも思ったりします。しかしやはり授業という性格で完結してしまうせいか、なかなかそこでの成果が世に問われることがありません。地道な基礎的考察は、個人レベルではなかなか時間的にも肉体的にも困難が伴いますので、ゼミにせよ勉強会にせよ、そこでの検討作業が学界に寄与するシステムが出来ればいいなぁ、と思います。

もう一冊は、『新修大阪市史・資料編5(大坂城編)』大阪市史編纂所・大阪市史料調査会編集・大阪市発行、2006年)。いやこれはまったくの予想外(笑)。でもわけあってしばらく本願寺にはまっていたので、購入。ほんとは『愛知県史』の織豊2を買うつもりだったんですが…。それも買うと破綻する。またいずれ。

最後ですが、ご協力および下働きしてくださったみなさん、ありがとうございました。

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2007.05.16

今年3回目の名古屋

どたばたしていて遅くなりましたが、先週末は名古屋へ報告をしに参りました。
討論では私自身非常に勉強になりました。建設的な議論をしてくださったみなさまに感謝申し上げます。
質問は7割方が私宛でしたが…。史料をあんまり出さないで考え方を伝えるというスタンスだったこともあるんですが、結果として大雑把な内容になったので、いろいろわからないことだらけになってしまったかもしれずで…。この辺は反省材料です。

半年間ずっとこれが頭の片隅にある生活が続いていたのですが、とりあえずやり遂げてほっとしました。あとは間近に迫った某大会を乗り切れば、だいぶゆとりも出来るかな、と。

ところで先日神保町を歩いていたら、某書店に無造作に『千葉県の歴史』資料編中世2が。値段を見るとなんと1900円!ってことで即購入。ほんとは資金繰りが厳しいんで、あんまり買っちゃいけないのですが、つい…。先日も同じ書店で稲垣泰彦『日本中世社会史論』(東京大学出版会、1981年)を1800円で購入済。掘り出し物に出会えたのは嬉しいのですが。やっぱりあんまり神保町には近づかない方がいいのかもしれず(笑)。ほかは、授業で使えるかなと思って、朝日百科日本の歴史を何冊かバラで。

岡山のTさんから抜き刷り拝領。ありがとうございました。お返事は私の原稿が出来上がってからでお願いします。すみません。
そこでご質問があったのですが、神戸のラーメン屋情報を、とのこと。といっても私はもう神戸を離れて10年経つので、最近の人気店についてはまったく情報がありません…。今はどうかわからないのですが、神戸って比較的ラーメンは不毛の地のような気がします。

「おいしい」店かどうかは個々の好みがあると思いますが、昔はこちらの記事で書いた「第一旭」(JR三ノ宮駅東口から東へ1,2分。サンパルそば。おすすめは「Bラーメン」)か、「もっこす」(地下鉄大倉山駅下車、神戸市中央図書館そば。いくつか支店あり)ぐらいしかそこそこ名の知れた店は無かったので、行ったのもこれくらいですかねぇ。かつてもう一つの有名店として、三宮のセンタープラザ地下に「三馬力」という強烈なとんこつラーメンの店があったんですが、こちらはかなり昔に店を閉めてしまいました。
こういうページがあったので、ご参考まで。でも、なぜ神戸のラーメン情報を? 最近よく行かれるのでしょうか。
私も今度帰省したら、新しい店を探してみましょうかねぇ。

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2007.05.09

古典的名著の相次ぐ刊行

いよいよ「網野善彦著作集」(岩波書店)と「永原慶二著作選集」(吉川弘文館)の刊行が始まるようです。
意外にも網野さんの著作集は一冊当たりが随分安いですね。できれば揃えたいとは思うものの、うーむちょっと難しいかなぁ。
永原さんの方は、既に持っている著作が多いので、バラで買うことになりますかねぇ。

一応私はお二方の孫弟子に当たります…といって特に意味はありませんが(笑)。

あと「復刊ドットコム」から、勝俣鎮夫『一揆』(新書黄194、岩波書店、1982年)が今月復刊されるとのメールが来ました。実は、私はこの本2冊持っているんですが(一冊はカバー有りだけど書き込みあり、一冊は書き込み無しだけどカバー無しバージョン)、せっかくなので新本で一冊持っておこうかなぁ、と思います。
岩波のサイトに確認しに行ったら、笠松宏至『徳政令』(新書黄218、岩波書店、1983年)も復刊するんですね。こっちは持ってないので、おさえておかねばなりません。

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2007.04.20

荻原重秀の初の伝記?

村井淳志『勘定奉行荻原重秀の生涯-新井白石が嫉妬した天才経済官僚』(集英社新書385、集英社、2007年)読了。
荻原重秀といえば、元禄期の貨幣改鋳で混乱をもたらしたとして、好印象で描かれたことのない人ですね。確かに私も、この人に対するイメージはよくありませんでした。ところが実は、そのイメージはすべて、実際に荻原を蹴落として幕府中枢に座った新井白石が著作を通じて作り出したものらしい。その描写は思い込みが多く、実像にはほど遠いものだったことが、実際に史料を用いながら述べられています。
元々小説として書くつもりだったと述べられているように、内容としては伝記的な形です。事実関係自体は知らないことがほとんどなので、文章も読みやすく、面白かったです。ただ、最後の著者の「推測」は、どうでしょうかねぇ? 私は、さすがにそれはどうかなぁ、というのが正直な感想でした。

さて、問題は貨幣改鋳の話。一般には、改鋳によって素材価値が下落したため物価騰貴を招いたと評されているわけですが、物価騰貴の原因が貨幣改鋳そのものには無かった可能性が高い点については、私も了解できました。
一番興味深かったのは、荻原が「貨幣は国家が造る所、瓦礫を以ってこれに代えるといえども、まさに行うべし」と述べたという点です(p117。ただし実際は太宰春台著とされる『三王外記』が出典で、太宰の思考による影響も考えられるため要検討)。
著者はこれをもって荻原が「貨幣国定説」を見出していたとし、名目貨幣の発見の画期性を強調しておられます。まあケインズとの比較という観点が主なので、それもわからんでもないですし、理論そのものが「発見」されたのは、確かにこの時だとすることも、可能かもしれません。
ただし素材価値が価格に左右されない名目貨幣そのものについては、中世以前においては一般的な存在だったと思います。むしろ近世に入って貨幣の在り方が変わり、素材価値に貨幣価値が左右される状況の現出したことが、近世貨幣(というか、第一次大戦までの貨幣)の弱点となったと思われます。

読みながらつらつらと考えたんですが、どうもこの転換が起こったのは、やはり16世紀にありそうです。一番重要なのは、元々商品だった金・銀が貨幣になったことではないかな、と。それに加え、銭・米も加えて貨幣の役割を担うモノが複数存在することになったことも問題です。ここで「相場」が登場し(実際、この言葉自体16世紀に誕生したようです)、近世社会は貨幣そのものが持つ商品としての性格に悩まされることになった…。

実際に貨幣が商品としての性格を完全に放棄したのは、1971年のアメリカの金本位制放棄であったことは、経済史では有名な話ですね。貨幣史的には、ここまでを一体的に見通すのが目標になるんだろうなぁ(私にはできそうにないけど)。

著者自身は歴史教育がご専門のようですが、丹念に史料を博捜されており、論理にブレはないように思います。もっとも、私は使用された史料について一々その背景を理解しているわけではないので、その辺については近世史の専門家から見るとどう映るかはわかりませんが。
なお、ついでながら、一般的に「いい人」と思われている新井白石のイメージも一変するかもしれません(笑)。

4087203859勘定奉行荻原重秀の生涯―新井白石が嫉妬した天才経済官僚 (集英社新書 385D)
村井 淳志
集英社 2007-03

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2007.04.06

新体験の一週間

新年度から「勤務」生活になりました。
ほぼ毎日朝から詰めるという経験はしたことがなかったので(この年で…)、これだけでも新しい経験なんですが、研究室が与えられたりとか、シラバス作ったりとか、なんか環境が激変した感覚です。

長い一週間だったなぁ…、と。

といっても秋まで授業はしないので、別に「仕事」はありません(笑)。結局は自宅ですることとあまり変わらないんですが、部屋には何もないので、気が散らなくていいかも。もっともちょっと調べたい時に困ったりするわけですが。
あと、これは当然といえば当然なんでしょうけれども、いきなり事務方の対応が「先生」扱いに変わって面食らいます(笑)。まぁ学生時代にぞんざいな対応をされていたわけではないですが…。なんだか面映ゆいというか、居心地が悪いというか…。
といっても浮かれてはいられない。この待遇も一年限り。来年路頭に迷わないよう、今年度はより一層気を引き締めてまいりたいと思います。さしあたりは、抱えている仕事の処理をなんとか…。来月の報告の準備がまだ全然手が付いておらぬ…。

そんなこんなで?昼休みに生協へ行くと山積みになっていた水林彪『天皇制史論』(岩波書店、2006年)購入。まだ全然読んでませんが、読み応えがありそうです。山積みになっていたのは、多分教科書指定されていたからかと(なぜ指定されているかは知る人ぞ知る)
原動力となったのは、やはりかの都立大学の問題とのこと(あ、そういえば明後日投票日でしたねえ)。直接結びつくわけではありませんが、簡単に言えば、「権力」の存在をとことん突き詰める必要がある、といったところでしょうか…と私は理解しました(なので、間違っているかもしれません)。
最近、国家がなんちゃらという宰相の発言が物議を醸していますが、気になるのが、なぜか天皇の問題がほとんど話題にならないことですね。論壇ではややタブー化しているのが気がかりです。「代替わり」になったら自然と沸き起こるといえば、そうなんですが。

あと一冊、中山康樹『クワタを聴け!』(集英社新書380、集英社、2007年)購入。これは完全な趣味(笑)。クワタといえば元巨人じゃなくてサザンだよねえ?(あたりまえだ)と思って手に取ってみると、今までの全曲にコメントを付けていて、面白そうだったので。内容については賛否あるでしょうけれども、400近い曲に全部寸評を書くという努力に私は素直に感服しました(笑)。

天皇制史論―本質・起源・展開天皇制史論―本質・起源・展開
水林 彪


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クワタを聴け!クワタを聴け!
中山 康樹


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2007.03.30

「本能寺の変」論争の到達点

桐野作人『だれが信長を殺したのか-本能寺の変・新たな視点』(PHP新書452、PHP研究所、2007年)受贈。ありがとうございます。読了いたしました。

長らく構想を練っておられたとのことで、実に多彩な史料を豊富に用いられていて、飽きずに読み切ることができました。
近年ではどちらかというと、研究者の間では織豊期の政治史はやや低調な感がありますが、天正8年(1580)以降の信長政権と四国との政治情勢や、それに絡む三好氏の処遇の問題など、従来あまり注目されていない興味深い論点がまだ多く課題として残されているんだなぁ、と感じました。

史料的制約もあって、編纂物や軍記物の援用がどうしても多くなると思いますが、それを鵜呑みにせず出来うる限り史料批判が施されていて、安心して読み進められます。もっともそれらの史料批判の妥当性については、今後専門家の間で真摯な議論がされることにより、当該期の情勢がもっと精密に理解されるよう期待したいところです。

個人的には、上賀茂神社の天正10年(1582)6月の算用状が実に興味深かったです。上賀茂はこの時期の史料を特に多く所蔵しているのですが、まだまだこういう史料はほかの寺社の文書にはあるかもしれないなぁ…などという気もしました。

だれが信長を殺したのかだれが信長を殺したのか
桐野 作人


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